――バンド自体のコンセプトや、やりたいことみたいなイメージは?

久我:誰でも考えてると思うんですけど、「自分たちにしか出せない音楽」ですよね。似たような音楽っていうのはこれだけバンドがあればどうしても溢れてしまうのは当然のことなので、根本にある激しいロックを元に、いろんな味付けをして、自分たちだけの、一発聞いたら「これはLIPHLICHだ」とわかるような音楽を作ろうと思ってやってます。

――曲を作っているのはどなたですか?

久我:ボーカルの僕です。

――他のメンバーは久我さんの意見に賛同して……という感じですか?

新井 崇之(以下・新井):そうですね

進藤:基本的には……。フフフ…。

新井:基本的には、ってそれ以外あるのか(笑)。

進藤:たまには異論が(笑)。もちろん違う人間が集まってますから、それぞれ、違う意見が出ますから。フフフ…。

新井:好みが、というか芯にあるものが似てるんですよね。みんなきっと。そこに「久我新悟」という柱があって、そこに各個人の色がついていて、LIPHLICHが出来上がってるという感じだと思います。
 

――それでは各自のルーツを伺いたいのですが。

新井:僕の音楽のルーツはB'zですね。そこからハードロックに入って、ギターを始めたんです。その後にヴィジュアル系というものを知って、フレーズや音使い、それに考え方もハードロックと結構違ってるところがあって。そこにちょっと惹かれたんですよね。今のLIPHLICHには、ベタなヴィジュアル系要素はあんまり必要ないと思っていて、いろんなスタイルのギターがあっても良いのかなと。

僕は元々ジャンル関係なくボサノバだったりカントリーだったり色々な音楽を聴くんで。そういうところから要素を引っ張ってきてるって感じですね。音源を聴いて貰えればわかると思うんですけど。

丸山 英紀 (以下・丸山):僕は元々地域の鼓笛隊に入っていたのもあって、小さい頃から音楽には触れていたんですね。ジャズから入って、中学高校に上がると、まあ「バンドやろうぜ!」みたいな感じになって、バンドに誘われたり。

元々自分が好きなバンドというものがあんまりなくて、「やろうぜ!」と言われてた曲をやってたという感じだったんですね。たとえば、「~~に憧れて」と楽器を始める人も多いと思うんですけど、そうやって憧れるような、「このバンドのこの人が好き」っていうのは無かったんですよ。ハードロックやジャズだったり、いろんなジャンルの人達と仲良くなって、いろんなバンドを聴くようになったので、ルーツっていうルーツは無いんですね。

LIPHLICHでも、「これはこういうジャンルだから」というものにとらわれないでやっていけてるのは、そういうところが大きいと思います。

久我:僕は視覚的なルーツはSADSですね。音楽のルーツでは……例えば、映画音楽だったり、親が好きなマイケル・ジャクソンだったり、中学生くらいになったら有り体にロックを好きになったりして。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTだったり、METALLICAやKornだったり。18歳くらいになったら今度はジャズが好きになったりとか。

俗にいう雑食みたいなもんですけど。小さい頃から聴いているものが全部ルーツになっていると思いますね。

進藤:そもそもLIPHLICHを始める前……もっと言うと、久我くんに出会うまでは、僕は楽器をやっていなかったし、やる気もなかったし、そもそもバンドをやるなんて想像もしてなかったんです。
ただ久我くんに出会って、仲良くなって、「バンドやろうよ」と始めたのがきっかけです。
彼は「これから本気でやっていくバンドを作りたい」と言ってるわりには、まったくのド素人を誘ったという。よくわからない話で(笑)。フフフ…。

――ド素人の進藤さんを誘った理由は…?

久我:僕らは二十歳くらいの時に出会ったんですけど、僕がイナタいBARで1人で飲んでたら、渉くんが入ってきたんです。その時の見た目が、髪の毛を半分立てて、半分は下ろして、全然世代じゃないんですけどXの頃のYOSHIKIさんみたいな髪型で。そんな人が店に入ってきたので「この人絶対音楽やってるだろうな」と思って話しかけたんですよ。それで最初に音楽の話になったんで「間違いない!」と思って仲良くなって、ちょっと蓋を開けたら何の楽器もやったことなかったという(笑)。

進藤:元々パンクファッションが好きで髪を立ててたんですけど、途中で疲れちゃったんで、半分だけでいいかな? って自然とそうなりました。そもそも指摘されるまでそれがYOSHIKIさんの髪型ということも存じ上げなかったので。フフフ…。