(左から)ジャスティン・ティンバーレイク、キャリー・マリガン

ジョエル&イーサン・コーエン監督の最新作『Inside Llewyn Davis』が、コンペ作品としてカンヌ映画祭で初上映された。

その他の写真

本作は、1961年のニューヨークを舞台に、売れないフォーク歌手の葛藤を描くコメディ映画。主人公レーウィン・デイビスを演じるのは、オスカー・アイザック。『ロビン・フッド』や『アレクサンドリア』などにも出演してきたが、この映画で、見事な音楽の才能を披露している。

レーウィンのミュージシャン友達として出演したジャスティン・ティンバーレイクとキャリー・マリガンも会見に登壇。ティンバーレイクは、本作でひげを生やした、いかにも昔のフォーク歌手という風貌であることについて「ルックスを作り上げる上では、アイルランドのフォーク歌手ポール・クレイトンを参考にした。ひげも気にならなかったね。この映画では、普段の僕の音楽とは違うジャンルの歌を歌うけれど、僕はカントリー音楽が人気のテネシー州出身。カントリーの多くはフォークに根付いているし、僕はもともと、おじいちゃんにギターとピックを渡されて音楽を学んだんだよ」。また、マリガンが映画の中で本格的に歌うのは初めて。「この役が欲しかったから、『歌は得意』と言ったのよ(笑)。映画の中で歌うのは怖かったけれど、監督たちと(音楽監修の)T・ボーン・バーネットのおかげで、リラックスできるようになったわ」と語った。

イーサン・コーエン監督は「ある時、フォーク歌手が殴られているイメージが浮かんだ」と言い、これが本作が生まれたきっかけだという。いかにもコーエン兄弟らしい、エッジの利いたユーモアがたっぷりと詰まっており、プレス向け試写会場は終始、爆笑に満ちていたが、撮影現場も、同じくらい楽しかったようだ。「僕らが笑いすぎるせいで、自らテイクを台無しにしちゃうこともしょっちゅうだったな」(ジョエル・コーエン監督)。

コンペ作品の受賞結果発表は、フランス時間26日夜。

取材・文・写真:猿渡由紀