『藁の楯 わらのたて』レッドカーペットの模様(C)KAZUKO WAKAYAMA

映画『藁の楯 わらのたて』が、第66回カンヌ映画祭のコンペティション部門に出品され、大沢たかお、松嶋菜々子、三池崇史監督がレッドカーペットに登場。上映後は約5分間のスタンディングオベーションを受けた。

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本作は、木内一裕氏の同名小説を映像化したサスペンス・アクション。大沢と松嶋が、全国民を敵に回して任務を遂行するSPを、藤原竜也が全国民の標的になる凶悪殺人犯を演じている。

三池監督と大沢は黒のタキシード、松嶋はドルチェ&ガッバーナの水色のドレスという華やかな出で立ちでレッドカーペットを歩き、グランド・ルミエール劇場へ。大沢が松嶋をエスコートする場面もあり、会場では2000人の観客が総立ちで3人を迎えた。

公式上映前に行なわれた記者会見で、三池監督は本作について「生きている人間のテーマとさほど変わらない。人間を描いていれば、警察官と犯罪者という立場ではあるが、そこに人間としての日常がある。それを描いた結果、縦社会、日本社会で解決しずらい問題が自然に浮き彫りになった」とコメント。

記者から「罪や人を許すことがひとつのテーマだが、それをどう自分のなかで消化して演じたのか?」と質問されると、松嶋は「答えのない難しいテーマだと思います。大きなテーマというよりは、SP白岩のポジションを理解しようとしました。それを観ている方それぞれに解釈して頂くのがこの映画の狙いだと思います」。大沢は「登場人物がそれなりの正義、見方を持っていると思います。それがぶつかりあって、微妙な均衡を保っているのが、社会そのものでもあると。でもその均衡が、事件や刺激によってあっという間に歯車が狂うのが、世の中そのものだというように考えました。そういう意味で、そういう状況になったらどうするのか、自分自身も問われているような気持ちで演じていました」と話した。

上映後、大沢は「自分がまだふわふわしていて、わからないままここに来たという状態です(笑)。ただある受け入れ方をしてもらえたという実感はありました」と話し、松嶋も「あの大きさのスクリーンで観て、また最後に拍手を頂いてとても感動しました」と感無量の様子。三池監督は「カンヌは映画に対してとても真摯な映画祭という印象。自分が作った映画に助けられるという実感です。カンヌには、映画祭として洗練されていく部分と変わらない部分があって、その混ざり具合が心地よい。映画のなかに自分が出演しているような感覚を感じる。緊張しながらも癒されました」と喜びを噛み締めていた。

『藁の楯 わらのたて』
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