KDDIは、5月21日、LTEサービス「au 4G LTE」に関する広告の一部について、消費者庁から不当景品類および不当表示防止法(景品表示法)第6条の規定にもとづく措置命令を受けたと発表した。

●「iPhone 5」の最大75Mbpsのサービスの実人口カバー率は3月末時点で14%

auの「総合カタログ」(2012年11月号、2012年12月~2013年1月号の67ページ)とウェブサイトの「4G LTE」に関するページ(2012年9月14日から11月30日まで)に、「サービス開始時より全国主要都市をカバー」「4G LTE(iPhone5 含む)対応機種なら」「受信最大75Mbpsの超高速ネットワークを実人口カバー率96%に急速拡大。(2013年3月末予定)」などと表記していたが、アップル製スマートフォン「iPhone 5」で受信時最大75Mbpsのサービス利用できる地域は、2013年3月末日時点で実人口カバー率14%の範囲だった。また、その時点で、「iPhone 5」が対応する周波数帯域では75Mbpsのサービスを利用できる地域を実人口カバー率96%に拡大する計画はなく、カタログ・ウェブサイトの表記は、あたかも「iPhone 5」で75Mbpsのサービスを全国のほとんどの地域で利用できようになるかのように誤認させるものだった。

「iPhone 5」は、ソフトバンクモバイルとKDDIの2社が取り扱っており、ユーザーはLTEサービスのサービスエリアの広さを目安である「人口カバー率」や、実際の通信速度などを比較したうえで、よりすぐれているほうを選びたいと考え、カタログ・ウェブサイトの表記を信じてauの「iPhone 5」を選んだケースも多かったと思われる。

措置命令を受け、KDDIは「お客さまと関係各位に大変ご迷惑をおかけすることになりましたことをお詫び申し上げます」と謝罪。広告表示の適正化に向けて、自主的に社内で広告表示の点検を行い、3月中旬までに「au 4G LTE」の通信速度やサービスエリアを訴求する広告で、対象機種(iPhone 5やAndroidなど)がわかりにくかった表記を修正したという。また、お客様に対するお詫びと、事態を発生させた責任として、田中孝司社長をはじめとする関係責任者6名が報酬の10%~20%を3か月間、それぞれ返上する。