浜野謙太

レシピ本としては異例の累計532万部を突破した「体脂肪計タニタの社員食堂〜500kcalのまんぷく定食〜」をモチーフに映画化した『体脂肪計タニタの社員食堂』で、デブで気弱な二代目副社長・谷田幸之助を演じた浜野謙太が、本作に込めた真のテーマを熱く語った。

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社長の父・卯之助(草刈正雄)が病気で倒れ、二代目の幸之助が大事な新商品発表会の責任者に。ダメ男の幸之助は一念発起、社員自らダイエットを行い、経過を発表するキャンペーンを立案。幸之助は同級生で、かつてはポッチャリだった栄養士の菜々子(優香)を雇い、体脂肪率40%以上ある社員を中心にした一大プロジェクトをスタートする。もちろん、浜野の太った姿は特殊メイク。実は、これに苦労したという。「自分が思っている演技上の表情が、いつものやり方では表に出ていかない(笑)。最初は自分の思った通りになかなかいかなかったので、まるで俺が俺じゃなくなってるような気がして、不安でショックな毎日でした(笑)」。

体脂肪率40%以上ある社員がダイエットに挑戦するという主軸があるが、肝心な点は太っていること=マイナスという意図はないこと。この点、「この映画、太っていることが悪いのでやせましょうという図式ではないです。それは李闘士男監督の想いで、タニタの考え方でもあると思います」と浜野自身も力説する。タニタの場合、体脂肪計を作っている会社の社員という大義名分はあるものの、これは怠慢な人生を送った者たちの、人生リベンジの熱い話なのだ! 「ただのダイエット指南ではないわけですよね。そこには哲学や思想もあるような気がして。特殊メイクまでして撮影してよかったなと思うテーマですね(笑)」。

実は本作、幸之助に着目してドラマを追っていくと、観る者はスンナリ感情移入して楽しめる。ニッコリとうなずいて、浜野は言う。「コネ入社で物事にウジウジしていた男が、ダイエットをやるって言い出しただけの話です。でもそれだけのことだけれど、彼にとっては難しいことだったわけです。だから、その一歩前に踏み出す姿を観て、どこか共感できる存在になっていることに感動しました。彼は多くの人たちの共感を集めそうですね(笑)」。

『体脂肪計タニタの社員食堂』
5月25日(土)より、全国ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇