【音楽】日本語ロックに新しい風~シャムキャッツの新作『GUM』

リズムが独特で言葉の使い方も奇をてらわず今どき。90年代USインディーズのような脱力感を日本で地でやれるかっこよさ。そんな注目の新鋭「シャムキャッツ」の魅力をご紹介。

タワレコ新宿の片隅のちっさいコーナーにて1stアルバム『はしけ』。POPにほとばしる「好きです!とにかく好きなんです!愛してるんです!」のギャル文字に促され試聴してみたら1曲目「忘れていたのさ」からぶっちぎりに抜群なメロディと楽しげに絡み合うコーラス、続く「チャイナは桃色」「アメリカ」まで聴いて堪えきれずに即買い、とゆうのがシャムキャッツとの出会い。とにかく彼らはバンドのもってるリズムが独特で言葉の使い方が奇をてらわず今どき、90年代のUSインディにみられる脱力感を日本で地でやれるかっこよさを纏って次代の風を大いに吹かせていた。即座にくるりやサニーデイサービスなんかも連想したけど、やっていることが遥かに今。2009年当時の空気感満載だった。ジャケに写ってるナード大学生みたいなこの4人、これがシャムキャッツか、生意気そうだな。などと思いながら、私は確信した。このバンドはきっともっとすごくなって日本語を使ったロックのまだ知らない新しい景色を私たちにみせてくれるに違いない。
 

シャムキャッツ
はしけ
2,500円
タワーレコードで購入

 

と、ここまで手離しで絶賛した割に、ライブに足蹴く通わなかったのは、初めてみたときのライブでいまいちピンとこなかったから。曲は好きだ。ポテンシャルも感じる。でもライブだと力が入りすぎてて、それが空回りしてる感じがする。もっともっとよくなりそうなのに。同時期に見たボーカル夏目くんのソロは、いい具合に力が抜けてて歌がちゃんと聞こえてきた。正直、ソロの方がずっといいなと思った。

はじめて夏目くんと話をしたとき、雑談レベルな感じでその話をした。夏目くんは「ライブやってて楽しくない時期もあったから」て言ってたような気がする。「いまはいい感じだから、自分たちで録音してどんどん音源を出していこうと思ってる」て言ってたような気がする。そうして彼らは立て続けに「DEMO SINGLE SERIES」を3枚リリース。どれも青春のかけらの名ソングばかり収録されてるけど、中でも「1」に収録されている「渚」。後に正式なシングルとしてリリースされることになるこの曲は、初めてライブで聴いたとき「わぁ遂に頭いっこ飛び出たなこのバンド!」と思ったほど。漣のようなリフレインと儚い情景を彷彿させる甘酸っぱいメロディ、若さ、迷い、希望、この曲は、2011年ユースカルチャーを代表する名曲だと言い切りたい。“これから何をしようが勝手だよ”という歌詞は、当時バンドがうまくいかなくて悩んでいた夏目くんが、自身へ言い聞かせるために書いたものだったそう。

 「渚」PVも素晴らしい

また「3」に入っている「気をつけて」は、シャムキャッツ風ストレンジポップ。日本語を使ったロックの新境地へ挑戦してきた1曲だと思うし、再録でミニ・アルバムに収録されたのも大いにうなづける。とはいえ個人的には「2」がいちばん好きだし(ライブで「BALLADE NOT SUITED」やって!「NO NO NO」も!)、この「DEMO SINGLE SERIES」はすでに入手困難になってるので、ぜひ正式音源化を希望したい。彼ら自身も、この3枚を通してシャムキャッツというバンドの輪郭を探り当てていったんじゃないかなと思う。だってこの時期にぐーっとライブがよくなってったから。すんごくよくなってったから。一度、ライブ後にあまりに感動して夏目くんに「まじでかっこよかった!!!」て伝えたら「ありがとう、でももっとかっこよくなるよ」てさらっと返されたことがあります。驚いた。あれはかっこよかったなぁ、惚れたなぁ。

シングル「渚」に続いて「サマー・ハイ」をリリース。

「渚」も「サマー・ハイ」もまだライブで買えます。たぶんそんなに数ないと思いますが…

 

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