『はじまりのみち』試写会の模様

木下恵介監督生誕100年記念映画として公開される『はじまりのみち』の試写会が27日に都内で行われ、原恵一監督と、木下監督の代表作のひとつ『二十四の瞳』の出演者たちで構成される“瞳の会”のメンバー9人が登壇した。

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本作は、劇場版『クレヨンしんちゃん』などで知られる原監督の初の実写作品で、木下監督が新聞に寄稿した戦争末期の思い出を綴ったエッセイを基にした作品。病身の母を疎開させるためにリヤカーに乗せて、60キロもの道のりを進む木下恵介と兄、そして便利屋の旅がユーモアと感動と共に描き出される。

劇中には加瀬亮演じる木下恵介が、河原で小さな子供たちを連れている女性教師を目撃する場面が登場するが、このシーンは木下監督の『二十四の瞳』にオマージュを捧げた場面で、映画には『二十四の瞳』の映像も登場する。以前より繰り返し木下作品の魅力を力説してきた監督は「この役目は、ものすごく責任重大だなと思っていました、言葉は重ねられるけど映像は選択肢がひとつしかなくなるので。僕の作品を見て、木下監督の映画の作品の凄さを感じてもらわないといけないと思っていました。追い込まれていて楽しむ余裕がありませんでした」と撮影を振り返った。

作品を観賞した“瞳の会”のメンバーの郷古秀樹さんは「原監督が木下恵介監督を本当に好きなんだという事が改めて感じられました。『二十四の瞳』がオーバーラップされるシーンもたくさんありました」と語り、成瀬いく子さんは「木下先生の原点がわかったような気がして感動しました。時間が出来たら、木下先生の作品を再度見直したいなと思いました。また母の言葉の影響力というものが印象的で、私も孫の面倒を見ているので気を引き締めなければいけないなと感じました」と述べた。

原監督は“瞳の会”のメンバーを前に「みなさんをスクリーンで何度も見ているので、同じ檀上に並んでいるのは非常に不思議な感じがしています」と語り「木下監督という人は、僕らが到底たどり着けないような色々な高みを見せてくれる監督、それぐらい見上げるような素晴らしい作品を作っている監督です。僕らは一歩一歩そこに向かっていくしかないなと思って、今回の『はじまりのみち』も撮らせて頂きました。この作品が皆さんの心にも残れば嬉しいです」と集まった観客に語りかけた。

『はじまりのみち』
6月1日(土)ロードショー