撮影:稲澤 朝博

ゲームからアニメ、漫画、玩具におよぶクロスメディアな展開で国民的大ヒットシリーズとなった『妖怪ウォッチ』。

その映画版も14年の第1作から3年連続でメガヒットを記録。

いまや冬休みの定番作品として人気を博しているが、現在公開中の『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』は、アニメと実写を融合させた前作に続き、シリーズを根底から覆す驚きの設定と展開が大きな話題になっている。

『妖怪ウォッチ』新作は、主人公ケータの時代から30年後の世界が舞台

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』©LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2017/©水木プロ・東映アニメーション

何しろ今作が描くのは、シリーズの主人公・ケータの時代から30年後の世界。

妖怪たちにも“ライトサイド”と“シャドウサイド”の2つのモードを用意し、恐怖と笑いのコントラストをさらに強化。

しかも、妖怪繋がりで、あのゲゲゲの鬼太郎と彼の仲間たちも登場するという夢のような内容なのだ。

そんな子どもから大人まで楽しめる新生『妖怪ウォッチ』で、闇に囚われた新たな主人公の一人・月浪トウマの声を担当した千葉雄大さんを直撃!

声を収録したときのエピソードから自身の子ども時代のことまでドーンと聞いちゃいました。

フォトギャラリー千葉雄大撮り下ろし、『妖怪ウォッチ』作品写真をさらに見る

『妖怪ウォッチ』は“攻めるアニメ”という印象

――『映画 妖怪ウォッチ』の新しい主人公の一人、月浪トウマの声を担当するという話を最初に聞いたときはどう思われましたか?

「『妖怪ウォッチ』が子供たちに人気があるのは知っていたし、歌も話題になりましたよね。

その作品で、28歳の僕が13歳の男の子を声で表現しなくてはいけなかったからちょっと緊張しました。

でも、やってみたら、楽しかったです。感情を声だけで表現する難しさはありましたが、それも含めて楽しかったですね」

――年齢的に、いままでのシリーズは観てないですよね。

「何作品かは観たことがあって、“攻めるアニメ”という印象がありました。

時事ネタも盛り込まれていて、これをパロるんだ? と思ったこともあります(笑)」

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』©LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2017/©水木プロ・東映アニメーション

――ただ、今回はこれまでのシリーズの30年後の世界を描いていて、登場人物もテイストも違います。

「そうなんです。今回は大人の方も楽しめるものを目指したと聞いていますが、僕も完成した作品を観て、純粋にスゴいなと思いました。

自分が声を担当しているからとか関係なく、大人が観ても感動できるし、ワクワクできるのがいいですよね」

――先ほど、トウマの感情を声だけで表現するのが難しかったと言われましたが、声を収録するときにはどんなことを心がけられました?

「ウシロシンジ監督から最初に『あまり作り込まず、台本を読んで感じたものを自然に表現してください』と言われましたし、トウマは少し達観したところがある男の子なので、あまり声を作ってはいなくて。

でも、たまに『もうちょっと13歳っぽい雰囲気で』って言われたこともありました(笑)」

――トウマは最初のうちは心を閉ざしていますが、仲間ができてからは元気になって、次第にヒーローのような存在になっていきます。そのあたりの声の変化も気を遣われたんじゃないですか?

「そうですね。本当に波がある役なので、その流れは意識して。序盤はどちらかと言うと自然な感じで、仲間と一致団結して戦うところからはヒーローみたいな感じになればいいなと思いながらやっていました」

――妖怪ウォッチを腕につけて義経や弁慶などの妖怪を自らの肉体に憑依させるシーンは、『天装戦隊ゴセイジャー』('10~'11)をやっていたときのことを思い出したんじゃないですか?

「名乗るところとか戦うときの声の出した方などにちょっと懐かしさを感じましたね。

憑依するときのセリフも日常で使わない、カッコよく決めなきゃいけないものですけど、抵抗なくできました」

――得意とするところだったわけですね。

「いや、どうですかね。見比べたら、違うのかな。個人的には、戦隊をやっていたときと違っていて欲しいですけどね(笑)」

――憑依する妖怪の中でいちばん気に入っているキャラクターは?

「義経のくだりは、戦いのモードではないけれど、トウマの気持ちを代弁してくれているところがあるので、なんかいいですよね。

あと、自分が憑依するキャラクターではないですけど、エンマ大王と蛇王カイラのライバルでありながら、そこにちょっと友情が感じられる関係性もいいなと思いました」

――声の収録は、ヒロインの天野ナツメの声を担当した上白石萌音さんと一緒にやられたんですか?

「いえ、僕はみなさんの声がすべて入った段階のものを見ながら、ひとりで録りました。でも、やりにくいとはあまり思わなかったです。

もちろん、上白石さんたちがそこに実際にいたら、また違うテイストのものができたかもしれないけれど、戦隊のときも同じような感じでやっていたから違和感はなかったですね。

逆に、僕はみなさんの声がすべて入った段階で声を収録したので、やりやすかったような気もします。ほかの人の声がまったく入ってない状態のものを見ながらひとりで収録していたら、状況はまた違っていたでしょうね」

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』©LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2017/©水木プロ・東映アニメーション

――声優の仕事はあまり慣れてないとのことでしたが、 今回の失敗談や苦労したことなどを教えてください。

「ビックリするシーンのときに、つい『あ』って口を手で隠してしまったときがあって注意されました。

そりゃそうだと思って、それからは手を背中の後ろに回して声を収録するようにしましたね」

――そのほかに大変だったことは?

「ちょっとした声の変化、トーンの差を出すのがやっぱり難しかったですね。抑揚をつけ過ぎて、わざとらしくなってもいけないけれど、お客さんに伝わらないと意味がない。

表情などが助けになる普段のお芝居と違って、声だけで弱々しい口調の中にトウマの意思が滲み出るようにするのはやっぱり難しかったです」

『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』©LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2017/©水木プロ・東映アニメーション

――ジバニャンや鬼太郎との声の共演はいかがでした?

「いや~興奮しました(笑)。鬼太郎のところは特にそうです。

鬼太郎がいなかったらトウマは死んでいたかもしれないし、命の恩人です」

――完成披露試写会の舞台挨拶で、鬼太郎の声を担当されている野沢雅子さんとも初めて会われたんですよね。

「そうなんです。すごいエネルギーに溢れた方だなと思いました。

それに、僕が子供のころに観ていた『ドラゴンボール』(’86)の孫悟空や『銀河鉄道999』(’78)の鉄郎の声をやられていた方ですからね。

そう考えると、スゴいですよね」