柚希礼音 撮影:奥村達也 柚希礼音 撮影:奥村達也

2010年ににより日本初演、好評を得たフランス発のミュージカル『ロミオとジュリエット』。その後、雪組、月組での再演を経て、再び5月31日(金)より星組で上演される。同作品で3年ぶりにロミオを演じるトップスター、柚希礼音(ゆずき・れおん)に、現在の心境を訊いた。

宝塚歌劇星組『ロミオとジュリエット』

2度目の挑戦について、柚希は「進化した『ロミオとジュリエット』を作りたい」と、意気込みを見せ、他組で再演を重ね、磨かれてきた作品だからこそハードルが高いと話す。「今回の方がより難しく感じます。初演でロミオを務めさせて頂きましたが、3年前を再現するのではなく、もう一度、基本であるシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を研究し、そこで純粋に感じたロミオを作り上げていきたいです。今思えば前回はロミオの勢いを重視して見せていたので、もう少し感情を繊細に作っていきたいと思います」。

さまざまなカンパニーで上演されている『ロミオとジュリエット』の中でも、このフランス発のミュージカルは、ロックな音楽とパワフルなダンスが特徴的。柚希は素晴らしい音楽を自分のものにすべく、譜面と向き合う。「作曲者が役をよく理解して作られている音楽なので、一つひとつの音程、リズムをその通りに表すことで感情が乗るんです。ですから、まずは基本的なことをしっかりつかんで、感動を生み出せるようにしたいです」。特にラストの悲劇的なシーンの楽曲は、初演時から難しさを感じている楽曲のひとつなのだそう。「ロミオが死を選ぶ場面は、“ジュリエットが死んだということは、僕も死ぬしかない。思い残すことはないから、君の所へ行く!”という、実は希望に満ちあふれた曲なんです。それがかえってお客様に、可哀想なふたりだと思って頂けるように、大切に歌いたいです」。

専科の轟悠を主演に迎えた3月の梅田芸術劇場公演『南太平洋』と4月の台湾公演とで二分され、大きな経験を積んだ星組がひとつになる。柚希を中心に、ひと回りもふた回りも大きくなった星組のパワーに期待できそうだ。「今回は、ティボルトやベンヴォーリオなど6役が役替わりで、それぞれにハードルが上がっていると思います。私も相手によって変わっていけるようにしたいですし、配役によって印象が全然違う作品になればと思っています。若者達を演じるという点では、とても活気のある星組のパワーを発揮できると思いますので、楽しみにして頂きたいです」。

公演は5月31日(金)から7月8日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、7月26日(金)から8月25日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が発売中、東京公演が6月23日(日)午前10時より一般発売開始。

取材・文:黒石悦子