撮影:大森泉 撮影:大森泉

眺望抜群の梅田スカイビル27階に誕生した絹谷幸二 天空美術館。世界初の試みである絵の中に飛び込むという、大迫力の3D映像が体験できる美術館だ。開館1周年を迎えた話題のスポットでの、ひと味違うアート体験をご紹介。

「絹谷幸二 天空美術館」チケット情報

絹谷幸二は、東京藝術大学大学院壁画科修了後にイタリアへ留学し、アフレスコ(壁画の古典技法)による色彩豊かな画風を確立。生きる喜びを高らかに謳いあげるような、エネルギーに満ち溢れた作品は多くの人に支持されている。

静かに鑑賞するのではなく、まるで絵画を体験するかのような展示方法を採っているのが、絹谷幸二 天空美術館の魅力。感想を語り合いながら展示を楽しみたいカップルや家族連れにピッタリのアートスポットだ。目玉は幅約14m、高さ約3mの大型スクリーンに絹谷ワールドを再構築した3D映像体験。入場時に渡される3Dメガネをかけてスクリーンを眺めると、音楽とともに絵画の中に入り込むバーチャルツアーがスタート。体をくねらせ空を舞う龍、迫りくる風神雷神、舞い散る紅葉や桜吹雪が、まさに眼前に飛び込んでくる。ここでは、歓声をあげるのも、絵をつかもうと体を動かすのも、鑑賞者の自由。テーマパークのアトラクションのようなワクワクを、心のままに体験してほしい。

3D映像を楽しんだ後は、展示ゾーンへ進もう。展示ゾーン「青」には、若き日の留学先・イタリアを描いた作品が並ぶ。壁画の表面を剥がして移し替える「ストラッポ技法」により展示された大作もあり、その大きさに圧倒されること間違いなし。ルネッサンスの巨匠へのオマージュ作品は、どの絵がモチーフになっているのかを語りあうのも楽しい。展示ゾーン「赤」は、富士山や古事記など東洋がテーマの作品が中心。風神雷神をモチーフに現代文明への警鐘を込めた『黄金背景富嶽旭日・風神・雷神』は必見だ。

梅田スカイビルの27階というロケーションを生かした「天空ギャラリー」「天空カフェ」からの眺望も、こちらの美術館の魅力。オススメは、夕暮れどき。大阪湾に夕日が沈みゆき、空一面が茜色に染まる瞬間は、筆舌に尽くしがたい美しさだ。「天空カフェ」の窓側にはカップルシートも。絵画にちなんだ色鮮やかなイタリアンソーダやコーヒーなどを楽しみながら、ゆっくりと過ごそう。

開館1周年を記念し、3月26日(月)まで特別展示「歓喜あふれる時~歌・食・食、そして藝術~」を開催中。イタリアの人生観「愛して歌って食べる」という喜びを表現した心躍る作品を展示する。

お得な割引入館引換券はチケットぴあにて発売中。休館日は火曜日(祝日の場合は開館、翌平日が休館)。12月30日(土)~1月3日(水)、展示替え期間は特別休館。

文:上田亜矢