『シャニダールの花』(C)2012「シャニダールの花」製作委員会

石井岳龍監督の最新作『シャニダールの花』が7月20日(土)より公開される。石井監督が構想に7年かけたという本作は、限られた女性の胸に咲く“シャニダールの花”をめぐる男女の物語だ。作品の芯となる“シャニダールの花”はどのように生まれたのだろうか?

映画は、女性の胸にだけ咲く“シャニダールの花”をめぐる幻想的なラブストーリー。シャニダールの花を利用した新薬開発を進める研究所の植物学者・大瀧(綾野剛)と、セラピストの響子(黒木華)を主軸に、危険な花の魅力にとりつかれていく人間の姿が描かれる。

“シャニダールの花”は、石井監督が、ネアンデルタール人の化石が発見されたイランのシャニダール遺跡から着想を得た架空の花で、『るろうに剣心』『プラチナデータ』などで美術監督を務めた橋本創が、監督の構想を実体化した。橋本は「監督とお会いする前に台本を読んで、サボテンに咲く花の様に異物な感じが良いなと思い多肉植物の花を中心に数パターンをデザインしました。その中で、年に一度だけ大ぶりの綺麗で妖しい花を咲かす月下美人をベースに描いた絵を見た監督が『僕も月下美人をイメージしていた』とおっしゃって、驚きとともにとてもうれしかったです」と明かす。

ふたりが生み出した“花”に狂わされていく大瀧を演じた綾野は、撮影現場での橋本との関係を「真剣勝負」と表現し「橋本さんから役者に向かってくるパワーがものすごく強くて、毎回、『お前、俺の作った美術でどんな芝居するの?』って挑戦されているようでした。この作品を少しでもよくしたいという想いがひしひしと伝わってくる現場でした」と振り返る。

石井監督は本作を「花に狂わされた人たちの話といえるのですが、その中で愛情のあり方…愛する、あるいは受け入れるのはどういうことなのか? というテーマを、花と人間の関係にリンクさせたかったのかもしれません」とも語っている。

『シャニダールの花』
7月20日(土)テアトル新宿ほかロードショー