前回、記事『人事もア然! 実録・トンデモ就活生』[ http://ure.pia.co.jp/articles/-/13262 ] でトンデモ就活生の一部をご紹介しましたが、今回は企業側、思わず「こんな人事いるの?」といいたくなってしまう"トンデモ人事"なお歴々をご紹介いたします。
 

1.経歴詐称する面接官

海外輸入商社のA社では、商売柄、一部の職種を除いて、英語がビジネスレベルにできることが入社の必須条件になっていました。海外営業本部長待遇でつい3ヶ月前にA社に入社したBさんは、豪快な人柄で部下からも頼れる上司と信頼され、試用期間の3ヶ月で部門をまとめ上げることに成功し、社長も将来を期待する人物との評価でした。A社は年間30名ほどの新卒を採用するのですが、ぜひBさんを面接を担当してもらおうとして、Bさんも快諾。そして二次面接で2対2の面接が始まりました。Bさんはこれが悲劇の始まりだとも知らずに…。


Bさんの部下が一通り質問をして、初めて面接の場に立ち会うBさんはにっこり笑っているだけ。しかし、そんな笑顔が5秒後に消えました。

「それでは、今から英語で質問いたしますので、英語で答えていただけますか? それでは本部長、質問よろしくお願いします」と部下。

「私が質問…す…る、のかい?」とBさん
「はい。よろしくお願いします」と部下。
30秒ほど沈黙がつづき、Bさんの口から出てきた英語は…。
「What’s your name?」
「いえいえ本部長。もっと難しい質問でお願いします」
「pardon?」

Bさんと部下のわけのわからないやりとりは続き、いいかげん気づいた部下は、自分で質問することにしました。面接されている就活生もキョトンとしながら、普通に英語で回答していき、面接はなんとか終了しました。

そうです。Bさんは英語がまったくできない人物だったのです…。

履歴書には英語に関するテストスコアはほぼ満点で記入されており、海外赴任経験も豊富と書かれていましたが、海外に短期間視察に行っただけで実際に英語での交渉した経験もありませんでした。3ヶ月間ばれなかったのは、秘書が英語応対をしていて、Bさんが英語を話さざるを得ない機会が「たまたま無かっただけだったのです」。本部長採用だったので、社長面接で決定したのも、たまたま、英語力を試す機会もありませんでした。当然話せるものと社長も思い込んでいたのです。

社長の前に立たされるBさん。社長も困り顔。
「本来なら辞めてもらうところなんだが・・。あの海外部門をまとめ上げたしなあ」

Bさんが来る前は、海外営業本部はリーダー不在で、指示系統が混乱することがありました。それをまとめ上げたのはたしかにBさんの手腕でした。英語ができない以外はBさんは優秀なのです。

そしてBさんに下った懲戒処分は、「経歴詐称について、本部長から担当部長に降格、英会話学校に自費でビジネス英語をマスターするまで通い続けること。ビジネス英語をマスターしたと会社が認めたら、本部長に再び復帰させるものとする」

ある意味、Bさんにとって、英会話学校の方がずっと重い懲戒かもしれません。