イワシのダシがきいた韓国式手打ちうどん3500ウォン!

『イナンシジャン・カルククスチッ』の店頭で、包丁(カル)で切られるククス(麺)

仁寺洞の北側にある安国駅から北西方向に4駅。景福宮の背後にそびえる仁王山という山の西側に弘済洞という街がある。ソウル中心部からそう離れてはいないが、下町情緒たっぷりのエリアだ。

大通りの脇にある弘済駅2番を出て、戻るように北方向に進むと、歩道では地べたに野菜や穀物、果物などを並べて売る人が目立ってくる。こういう場合、たいてい近くに市場がある。

1番出口を過ぎ、バーガーキングの角を右に曲がると、その辺りはもう仁王市場(イナンシジャン)だ。最初の路地を左折し、道なりに行くと店頭で麺を打つ男性が目に入る。ここがランチどきには行列ができるカルククス(韓国式手打ちうどん)の店だ。

中心部の鍾路3街辺りの専門店では6000ウォンはするカルククスが、この店では3500ウォン。

量こそ6000ウォンのものと比べると少なめだが、韓国人と比べると食が細い日本人にはちょうどいいだろう。

スープはイリコダシの風味が豊かで、安かろう悪かろうではけっしてない。麺にもじゅうぶんなコシがある。

うどんの代わりにすいとんを入れたスジェビも3500ウォン。うどんとすいとんを両方味わいたい人のためにカルジェビというハーフアンドハーフのメニューもある。

こちらは盛りが少し多く、4000ウォンで満腹に。

イナンシジャン・カルククスチッ(通称)
西大門区京東市場路6ギル TEL:非公表
11: 00~21:00 無休

蕎麦粉が香る本格派冷麺が5000ウォン!

『ポチョン・メミルネンミョン』の冷麺5000ウォン

南大門市場や東大門市場のような巨大市場の陰に隠れて目立たないが、ソウルの台所と呼ばれているのが地下鉄1号線祭基駅の東側に広がる京東市場だ。

その京東市場の東寄りにある青果市場を通り抜けたところを左に曲がり、最初の路地を左に曲がったところにあるのが「ポチョン・メミルネンミョン」だ。

有名店では10000~12000ウォンはする冷麺が5000ウォンと聞いて、最初はあまり期待しなかったのだが、麺は蕎麦の香り豊かで、スープにもコクがあり、有名店に負けない味だった。市場で働く人や買い出しに来た庶民たちに、できるだけ安く冷麺を楽しんでほしいという心意気が伝わってくる。

韓国では寒い冬に暖房のきいた部屋で冷たい冷麺をすするのが粋とされている。年末年始や冬季五輪の開催期間に訪韓する人には、この韓国独特の食の情緒を体感してもらいたい。

ポチョン・メミルネンミョン
東大門区祭基洞646 TEL:非公表
7:00~19:30 無休

『韓国、酒とつまみと酒場の話(試飲付き)』

1月27日(土)、28日(日)、名古屋の栄中日文化センターで本コラム筆者の講座『韓国、酒とつまみと酒場の話(試飲付き)』が行われます。電話(0120-53-8164)や下記サイト、窓口でお申込みいただけます。

 

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。