安倍なつみ 安倍なつみ

世界で初めてドラキュラ伯爵役を女性が演じた、和央ようか主演のミュージカル『ドラキュラ』。フランク・ワイルドホーンの楽曲の魅力も加わり、大きな話題を集めた本作が、2年ぶりに再演されることが決定した。そこで初演ではルーシー役を、再演ではルーシーの親友で、ヒロインでもあるミーナ役を演じる安倍なつみに、本作に寄せる熱い思いを語ってもらった。

ミュージカル『ドラキュラ』チケット情報

近年は女優としての活躍が目立つ安倍。舞台について話を切り出すと、「好きです、大好きです!」と目を輝かせる。「個人プレーではなく、みんなで作っていく過程がすごく楽しいですね。もちろん怖さや不安もありますが、舞台に立った瞬間、そんなものが一気に吹き飛んでいく。もうやるしかない!みたいな(笑)。私はずっとグループで活動してきたので、“なっち”というイメージが強いと思うんです。でも舞台に立つ時は、“役”としてそこに生きていられる。そのことがすごく好きなんだと思います」

初演からの続投ながら、安倍は今回、新たにヒロイン・ミーナ役に挑むことになる。それは本人も「もはや再演じゃないですよね(笑)。私の中では新作に挑む気持ち」と明かすほど、ルーシーとミーナは真逆のキャラクター。「ルーシーはとても明るい、真っすぐな子なんですが、ミーナは芯の強い、ドラキュラ伯爵に対しても最後まで戦う女性。まだ演じるに当たってのプランはありませんが、逆に作り込まず、柔軟に、自分なりのミーナを探っていけたらなと思います」

そんな理性的なミーナをも虜にしてしまうほど、不思議な魅力を持っているのがドラキュラ伯爵。そしてその魅力は、女性である和央が演じることで、さらなる妖しさ、きらめきを増す。「和央さんは本当にすごいですね。同じ人間とは思えないくらいミステリアスで、中性的で。だからこそ私も役に入り込みやすかったですし。あとやっぱり宝塚出身の方なので、動きとか、見せ方が、もう…凄いんです。勉強になることがたくさんありましたし、またご一緒できるのは本当に贅沢なことだと思います」

「舞台は観るのも大好き」という安倍だが、その大きな理由に「劇場に広がる非現実的な世界観と、これからここで起こることに対するワクワク感」を挙げる。そういった点で『ドラキュラ』という作品は、その最たるものと言えるだろう。「生のオーケストラで、生の歌で、生身の体で、みんなその時にしかないテンションで役に取り組んでいきます。だから観に来てもらえれば、必ず何か感じ取ってもらえるものはあると思うんですよね。そして私もそういう芝居をしたい、そんな歌を届けたいと思っていますので、劇場に足を運んでいただけると嬉しいです」

公演は8月23日(金)から9月8日(日)まで、東京国際フォーラム ホールCにて。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子