左から、村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえ  撮影:源 賀津己 左から、村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえ  撮影:源 賀津己

村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえという演劇界の個性派にして、誰からも愛されるぽっちゃり体型の3人が、2011年に旗揚げした演劇ユニット「おにぎり」。その第2回公演『トークトワミー!』の上演が決定、3人に話を訊いた。

おにぎり『トークトワミー!』チケット情報

前作『斷食』について「あっという間でしたね」と村木が切り出すと、「僕も」「私も」と市川と池谷。すると村木は、「なので今回は、“本当に面白い”と思えるおふたりとやれることを大事に、ちゃんとこのおふたりを楽しみたいです」と続ける。また池谷も「前回は3人が3人とも、それぞれのラインをバーッと走ってゴールした感じ。だから今回はそういう徒競走ではなく、大玉ころがしのような団体競技にしていきたいです」。

本作は「毛皮族」の江本純子の新作書き下ろしで、演出を千葉哲也が手がける。まずほかでは見られない組み合わせに、「このふたりだったら…って図がまったく見えてこない。その見えなさ加減に、私は逆にワクワクしちゃいます」と池谷。市川は「江本さんの脚本にはとにかく“勢い”がありますよね。たまに辻褄の合わないところがありますが、とにかく“勢い!”がある(笑)。それこそ江本さん作品の魅力だと思います」。また千葉と共演経験の多い村木は、「役者としてすごく信頼できますし、ほかの演出作品を観ても、すごく丁寧に作っている印象を受ける。その千葉さんが江本さんとかけ合わさった時にどうなるのか、今からすごく楽しみです」。

登場人物は、夫と妻、さらにその妻の兄という3人。池谷が「面倒くさいことのテーマパーク」と笑うように、どうしようもない中年男女の、どうしようもない日常が綴られる。市川は「ある程度歳のいった、僕らくらいの年代の人には面白いと思える部分がいっぱい見つかるはず」と言い、「なんか意外とそのままやれば面白くなるのかなと。つまり下手に小手先の技を使おうとすると、危ない脚本かもしれません」と分析する。さらに「これまでの江本さんとはまたタッチの違う脚本。その時その時の状態で、いろんなニュアンスを出せればより面白くなる気がします」と池谷。千葉から「無理しないで」と言われた村木は、「つまり狙って面白くするのではなく、自然とそういったものが生まれていけばいいんだと思います」。

市川が「わがまま公演」と語るように、小劇場ならではの、役者たちの“わがまま”がギュッと詰まった一作。たまにはそんなわがままにつき合ってみるのも、また一興ではないだろうか。

公演は7月10日(水)から17日(水)まで、東京・ザ・スズナリにて。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子