<家電激戦区を歩く>宮城・仙台市(4) 趣味性の高い商品が伸びる 白物家電は「エコ」がポイント

2013.6.10 12:00配信
ヨドバシカメラマルチメディア仙台では一眼レフを手に取るお客様が多い

岩手、宮城、福島の東北3県は、東日本大震災の影響で、地上デジタル放送への完全移行が約9か月延長された。仙台市内の家電量販店では、アナログ放送終了日の2012年3月31日まで、地デジに対応する薄型テレビの買い替え特需が続いた。その後、テレビの販売は落ち込んだが、代わりにデジタルカメラを購入するお客様が増えている。また駅前店舗では、ブランド品の腕時計に興味を示すお客様が多い。白物家電では、エコ商品の購入が急増。なかでも花粉やPM2.5対策など、空気清浄機の機能を搭載したエアコンに人気が集中している。(取材・文/佐相彰彦)

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<売れ筋商品>

●【デジタルカメラ】

レンズ交換型デジカメが人気 カメラ全体は高価格帯にシフト

仙台市の家電量販店では、「納得のいく写真を撮りたい」「子どもの記録をきれいに残したい」などの理由で、レンズ交換型デジカメ(一眼レフやミラーレス一眼)を購入する人が増えている。ヨドバシカメラマルチメディア仙台で一眼レフを購入するお客様は、比較的年齢が高く、写真にこだわりをもつお客様が多い。実機に触れて画質や操作感を試したいというお客様のために、一眼レフのデモコーナーはとくに充実させているという。下戸正己店長は、「競合店と比べてカメラに詳しいスタッフが揃っているので、お客様はスタッフと納得のいくまで相談して、自分に最適なモデルを選定することができる」と自信を口にする。

ヤマダ電機LABI仙台の小林義人店長は、「昨年はデジカメのような趣味性の高い商品は厳しい状況だったが、年末から伸び始めた」と、満足げだ。ここでも一眼レフとミラーレス一眼が人気だが、コンパクトカメラも壁一面を使ってほとんどのメーカーのモデルを展示。「品揃えでは、どの店舗にも負けない」と小林店長は胸を張る。

コジマNEW泉中央店でも、「コンパクトデジカメはスマートフォンにユーザーを奪われているといわれているが、当店では『一眼レフやミラーレスでは大きすぎるし、重い』という高齢のお客様が、軽くて操作が簡単なコンパクトデジカメを購入している」(横山晃央店長)と説明する。もちろん、一眼レフも「ファミリーに人気」だそうだ。

ケーズデンキ仙台西店では、「売れるのは圧倒的に一眼レフ。男性のお客様が、会社帰りに品定めをして、休日に購入するパターンが多い」(西田中耕治店長)という。

スマートフォンのカメラ性能が向上したことで、コンパクトデジカメが伸び悩んでいるといわれるが、一眼レフの根強い人気、軽くてコンパクトなミラーレス一眼の進化、さらには製品数が増えてきた高級コンパクトデジカメなど、デジタルカメラの潮流はより趣味性が高くて高価格帯の製品にシフトしつつあるようだ。

●【エアコン】

空気清浄機能搭載モデルが好調 買い増し需要も

2月頃から春にかけて、日本人の3割以上を悩ませる花粉症。また、季節を問わずハウスダストに悩んでいる人もいる。最近ではPM2.5の問題も出てきた。そんな悩みを解決する空気清浄機が、ここ数年、安定して売れているが、仙台では最新の空気清浄機能を備えたエアコンが売れ筋だ。

ヨドバシカメラマルチメディア仙台のエアコンコーナーでは、壁一面にエアコンを展示する一般的な売り方とは別に、PM2.5対応を大きく謳った展示に力を注いでいる。これは、非常に大きな成果を生んでいるようだ。

ヤマダ電機LABI仙台店では、「室温管理だけでなく、とにかく家の中で快適に過ごしたいということで、空気清浄機能をもつエアコンを購入されるお客様が増えている」(小林店長)という。とくに夏は空気清浄機とエアコンの両方を併用するよりも効率がよく、電気代の節約になると判断して購入するお客様が多い。

コジマNEW泉中央店では、「『リビングルームのエアコンが古くなったので買い替えたい』というお客様が多く、各メーカーのフラッグシップモデルが売れている」(横山店長)という。ケーズデンキ仙台西店では、「子ども部屋にエアコンを設置するなど、買い増し需要が多い」(西田中店長)という。

各店舗で共通しているのは、省エネモデルが売れていること。店舗側でも、古いモデルと省エネモデルの電気代を比較する展示などで買い替えを促している。

●【腕時計】

男性客がブランドを品定め 新たなお客様を獲得する商品に

家電量販店にある商品で最も趣味性の高いものといえば、腕時計。駅前の店舗では、デジタルカメラに加えて腕時計も売れ始めている。ヨドバシカメラマルチメディア仙台では、「腕時計コーナーには連日、男性の会社員を中心に多くのお客様がみえて、ブランドを品定めしておられる」(下戸店長)という。自分で身に着けるだけでなく、プレゼントとして購入するお客様も多いそうだ。ヤマダ電機LABI仙台も、「カジュアルな腕時計を多く揃えているので、コーナーを訪れるお客様は学生やファミリーなどが中心。収益が伸びている商品の一つでもある」(小林店長)と評価している。

駅前の店舗は交通の利便性が高いので、さまざまな層のお客様が来店するが、通りすがりや暇つぶしに店舗を訪れるお客様も多い。すぐには買う気がなくても、ショーケースの腕時計を眺めてあれこれと品定めをするのが楽しみ、という男性は多い。こうした層を吸引するために、駅前店舗の多くは1階などの入口となるフロアに腕時計コーナーを設置している。なかには見ているうちに購買意欲を刺激されて、その場やあとで購入する人も多い。その意味で、腕時計は家電量販店にとって新たなお客様を獲得する恰好の商材になっている。

●アナリストに聞く「売れる理由」

デジタルカメラは、ボディとレンズが一体になっている「一体型」で、センササイズが1.7分の1インチの低価格コンパクトがコモディティ(日用品)化で縮小している一方、それ以上のセンササイズをもつ高級コンパクトは買い増し需要などで拡大している。今年4月の販売は、低価格コンパクトが台数で前年同月比80.1%、金額で75.0%、高級コンパクトが台数で179.9%、金額で165.9%だ。

レンズを交換することができる一眼レフとミラーレス一眼の「交換型」は、これまでともに順調に推移してきたが、今年4月になって、ミラーレス一眼が台数で前年同月比99.2%、金額で92.5%と厳しくなってきた。一方、一眼レフは、台数で180.7%、金額で158.0%と大きく伸ばしている。これは、一眼レフの平均単価が昨年4月の時点で8万8000円台だったのが、今年4月に7万8000円台と値頃感が出てきたことが要因で、ミラーレス一眼の減少に少なからず影響している。ただしミラーレス一眼も、ダブルズームキットのお買い得感で売れているモデルや、魅力あるモデルで高価格でも人気を維持しているモデルなど、さまざまだ。

デジタルカメラは趣味性の高い商品で、芸術・文化につながる商品でもある。価値をわかりやすく伝えていくことが、ユーザーに認知されるポイントだ。

●家電激戦区「仙台市」を歩いて

仙台といえば、年初めの「初売り」が伝統行事。正月には多くの市民が街に出かけて買い物を楽しむ。2013年は、家電量販店の多くが「昨年以上に盛り上がった『初売り』だった」と口を揃える。東日本大震災から約2年が経過し、仙台が復興に向けて活性化していくことは間違いない。駅前の再開発や中心部でのマンション建設ラッシュなどによって、家電量販店にとっては新たなビジネスチャンスをつかむことができる地域になっている。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年6月3日付 vol.1483より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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