――「トントン万能神話」が独り歩きし過ぎているのかもしれませんが…。

トントンが一番、ポピュラーであることは間違いないですよ。

ただ、保育園でもトントンをやったからといって、すぐに寝てくれるわけじゃないです。保育士がやったらすぐに寝るという理想を抱いている方もいるかもしれませんが、そんなことないです。寝ない子は寝ないですから(苦笑)、僕も10分以上トントンすることもありますし。

“安心させる”と言いましたが、言い換えれば『ちゃんとそばにいるよ』と伝えるということなのかもしれませんね。

泣いてる赤ちゃんを抱っこしてあやして、ようやく寝たかと思ってベッドに下ろした途端にまた泣き出すという経験はみなさんあると思いますが、あれと同じですよね。

『大丈夫、ちゃんとそばにいるよ』と伝えてあげることで安心して眠ってくれるんじゃないかと思います。

トントン以外で、てぃ先生が園児たちに試される方法

――参考までにトントン以外で、てぃ先生が園児たちに試される方法はどんなものがあるんでしょうか?

よくやるのは足を握ってすりすりして温めてあげることですかね? 足元がポカポカと温まると眠りやすいんでしょうね。

それ以外では手を握る、頭をなでる、あと乳児期の子どもたちは眉間から鼻にかけてのところをスーッと優しくなでてあげると眠ることが多いですね。

大人の方も自分で試していただくとわかりますが、リラックスした状態で眉間から鼻先をなでると自然とまぶたが下がってくると思います。

――これは、寝かしつけに限ったことではないのですが、保育園では素直に言うことを聞いて、できていることが、家だとできなかったり「イヤイヤ!」となってしまうことに悩んでしまう親も多いのかと…。

保育園だと周りに他の園児もいるので、子どもなりに頑張っているというのもあるかと思いますが。

その通りだと思います。加えて、いくら保育園もそれぞれの子に合った個別の対応を心がけているとはいえ、基本的には集団で活動をする場ですから、子どもたちも周りがみんな寝るとなれば、自分も寝るという風に、いい意味で流される部分もありますし。

もうひとつ、保育園で心がけていること

もうひとつ、保育園で心がけていることがあって、それはお昼寝にせよ、食事にせよ、必ず“導入”を入れるということですね。

――“導入”を入れる?

何かをする前に、それに向けた活動を入れてあげるんです。

例えば、お昼寝の前には必ず絵本を読んだり、先生のお話を聞く時間を設ける。そうすると、子どもたちもお話を聞きながら『あぁ、次はお昼寝なんだな』とスイッチが入るんです。

逆に、家で何の前触れもなく、子どもが遊んでいる最中に『はい、もう寝る時間だよ』と急に言っても、それでは寝てくれないですよね。一連の流れを含めて習慣づけることが必要だと思います。

まずはどんなやり方で子どもが安心してくれるのか? 自分なりのやり方を探ってみては?

そして、平日であれ、休日であれ、ご飯、お昼寝などのルーティンのペースを崩さず、一連の流れの中で子どもの生活リズムを組み立ててあげてみてください。

てぃ先生
現役の保育士として園児たちの言動をTwitterで発信し話題 に。それらをまとめた書籍「ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえん か。」を刊行。「顧問保育士」としても活動中で、 自ら監修を務めるなごころ保育園が2018年、 愛知県に開園予定。