「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2013」授賞式の様子

アジア最大のショートフィルムの祭典「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア 2013」(SSFF&ASIA)の授賞式が9日、明治神宮内の神宮会館で行われ、イギリス人のガブリエル・ゴーシュ監督の『人間の尊厳』がグランプリに輝いた。

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オフィシャルコンペティション部門の応募総数4538作品の中から「インターナショナル部門」「アジア インターナショナル部門」「ジャパン部門」の3部門の優秀作品賞に輝いたのは、イギリスの失業問題にスポットを当てた『人間の尊厳』、イランの女性監督ティナ・パクラバンによる『私の街』、そしてシンガポールで映画を学ぶ日本人の田中希美絵監督の『寿』。その中から『人間の尊厳』が「演出、脚本、役者などすべての要素が素晴らしい。申し分ない」(審査員・宝田明)と高い支持を集めてグランプリを受賞した。

グランプリ受賞作品は2014年のアカデミー賞の短編映画部門のノミネート対象作品となるほか、各賞を受賞した3人の監督は東京都との共同プロジェクトとして観光誘致を目的に東京を舞台にしたショートフィルムを製作することになる。ゴーシュ監督は「インターナショナル部門」の受賞で壇上に上がった際には「“超ウレシイ”という日本語しか覚えてません(笑)」とおどけていたが、グランプリの受賞が決まると絶句。「ショックで言葉が出てきません。出演してくれた俳優、プロデューサーら全ての人に感謝します」と喜びを語った。

学校を出たばかりだという田中監督は「ジャパン部門」の受賞に「プロとしての生活が始まるときに、こうしていいスタートが切れてうれしい」と語る。トロフィーを手渡した審査員の成海璃子は「シンガポールで学び、自分の道を進む田中監督に敬意を表します」と語った。だが審査員の一人である原田眞人監督は「審査会は紛糾しましたが、唯一、意見が一致したのは日本映画がダメだということ。全体を通じて日本映画が弱いというのは毎年のことのよう」とあえて日本映画に対し厳しい意見を口にし日本人監督の奮起を促した。

また昨年から始まったプログラム「ネスレアミューズ映画祭」を協賛するネスレ日本の高岡浩三代表取締役社長兼CEOが映画祭代表の別所哲也と共に登壇。今年は“第2回ネスレアミューズ映画祭”と題して、数多くの優秀なショートフィルム作品をネット上で無料公開し、視聴者の投票で最優秀賞を決定するというオンラインでの映画祭を開催すると発表した。最優秀賞には賞金100万円が贈られるほか、日本人監督作品での最多得票作品にも100万円が贈られ、さらにネスレの支援の下でショートフィルムを製作することになるという。

今回で映画祭は15回目を迎えたが、別所代表は「まだ15回。これからもみなさんと共に成長していきたい」とさらなる飛躍を誓い、会場は温かい拍手に包まれた。