最大の敵は"依頼者"だった!? 元探偵が語る「受けてはいけない調査依頼」

2013.6.13 10:30

多岐に渡る「探偵」への調査依頼。中には受けてはいけない“危ない依頼”もあるのだとか。今回は、どんな危ない依頼があるのか、受ける・受けないの判断ラインはどこにあるのかを、元探偵の筆者が語ります。

探偵に元妻の住所調査を依頼 神奈川の女性刺傷事件
(2013.5.29 MSN産経ニュース)

先月、こんなニュースがメディアで報じられました。自身のDVが原因で逃げられた元妻を捜し出して路上で斬りつけ、重傷を負わせたという事件です。この第一報を聞いたとき「たぶん住所調査を探偵に依頼したんだろうな」と予想したのですが、続報によればその通りだったようです。

こういう反社会的な人間が、目的のため探偵を利用することは意外に少なくありません。たとえば日本の犯罪史に名を残した大阪教育大付属池田小の児童殺傷犯(宅間守/死刑執行済み)も、多額の借金をしてまで元妻の素行調査を依頼していたといいます。

そこで今日は元探偵の立場から、どんな危ない依頼があるのか、受ける・受けないの判断ラインはどこにあるのか?を述べてみたいと思います。あくまで一般論と筆者の経験に基づくもので、すべての探偵社がこの基準で考えているわけでないことはご了承ください。
 

受けてはいけない“危ない依頼”

多額の報酬をチラつかされても絶対に受けてはいけない依頼――それは犯罪行為そのものだったり、犯罪に直接つながると考えられる案件です。

探偵業を営んでさまざまな相談を受けていると、たまにとんでもない依頼が舞い込んできます。「リンチ(私刑)の代行をしてほしい」「ある女性を襲ってビデオ撮影してほしい」「ある有名人を脅迫してほしい」etc....。この手の依頼は「やれやれ、またか」とうんざりしながら即座に断ります。成功しても失敗しても“犯罪的な依頼を受けた”という事実が残ってしまうこと自体が非常にマズいのです。

他人の住居内や女子更衣室に盗聴器、盗撮カメラを仕掛けてほしいといった依頼もあります。技術的には可能なのですが、もちろんまっとうな探偵が受けるはずありません。同じ隠しカメラを仕掛けるにしても「自分の管理するマンション敷地内で悪質ないたずら行為が発生している。犯人をつきとめたい」という依頼ならOKです。いたずらをしているのが内部犯(マンション住人)の場合は、オーナーさんもあまり警察沙汰にしたくないらしく、こういう場面で探偵が腕を振るうと感謝されます。

また、普通なら受けられる素行調査や住所調査も、事件の臭いがするケースではNGとします。冒頭で挙げたニュースのように「妻を何度も殴り続けていたら家から逃げられた。どこのシェルター(避難所)にいるか捜し出してほしい」。こんな恐ろしいことをサラっと真顔で言ってくる依頼者がたまにいます。もし受けてしまったらどうなるかはご想像の通り。なにより探偵だって一人の人間ですから、こんな悪党のために働きたくはありません。守秘義務があるため被害者本人や警察などへ報告できないのが残念です。

意外なところで絶対受けられない、超Aランクの危険依頼に分類されるのは“差別調査”です。これは広い意味で婚前調査・個人信用調査の1つなのですが、対象者が「被差別部落の出身者か?」「本人または両親祖父母が外国籍かどうか?」まで踏み込んで調べることを指します。あまり若い年齢層の人にはピンとこないかもしれませんが、ご年配の方には結構こういう素性を気にかける人がいるようです。

差別調査に対するリスク度は探偵業界でも地域によって異なり、西高東低の傾向があります。とりわけ人権問題に厳しい近畿エリアの探偵社で差別調査を受けたのがバレてしまったら、一発で営業停止になると聞いたことがあります。たいていの探偵社はホームページに「差別に関わる調査は一切お受けできません」と注意書きをしていますが、そういうシビアな事情があるんですね。

ちなみにこのペナルティを利用して、ライバル探偵社を蹴落とそうとする悪質な連中もいます。依頼者のふりしてライバル社に差別調査を頼み、うまく受けてくれたらそれをお役所などにタレ込もうというわけです。本題から逸れるのであまり詳しく言いませんが、探偵の業界はこういうダーティーな足の引っ張り合いが日常茶飯事なのです‥‥。
 

photo credit: zinetv via photopincc

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