「引き算」ではなく、「足し算」するほど痩せやすくなる

また、ダイエットしようとなると、炭水化物以外でも、例えば極端に油を減らしたり、肉を食べないといったように、「何かを我慢しよう」「何かを断とう」と考えてしまいがちではないでしょうか。

しかし、人間の体は、単純に食べる量を減らしたり、何かを減らせば痩せていく、というものではないようです。

むしろ、太らないためには代謝を上げる栄養素を足す、それによって燃えやすい体にすることに着目し、何かを減らすという「引き算」より、「足し算」の発想で考える。その方がダイエットだけでなく健康維持の面でも望ましいといいます。

そこで大切なのは、ごはんや麺などの炭水化物をとるときには必ず、血糖値を上げにくい(GI値が低い)食材を組み合わせてとるということです。GI値が低い食品は、肉・魚・卵・乳製品、野菜・海藻・きのこ類、フルーツ、ナッツ、油などがあります。

炭水化物に加えて、たんぱく質、油、食物繊維、そして酢などの調味料を合わせて食べれば代謝が上がり、血糖値の上昇もゆるやかになるとか。食べる順番は、先ほどもお伝えした「おかずファースト」です。

ただでさえ、年齢が上がるにつれて筋肉量が落ち、代謝が悪くなってくるので、代謝を高めてくれる牛肉・豚肉などのたんぱく質や油も、避けるのではなく適度にとっていくことが必要なんだそう。

また、食べ方に関しては「ゆっくり食べる」ことも重要なポイントに。ゆっくり食べることで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。

「流し込むように早く食べるのはよくありません。噛み応えのあるものは、咀嚼が必要なぶん、食べるのに時間がかかります。その点でも、食物繊維が豊富なものを食べたほうがいいでしょう」

食物繊維の多い食材としてはきのこ類が知られています。最近では、血糖上昇を抑制する効果が期待できる「αグルカン」という成分が、きのこの中でも特に「まいたけ」に多く含まれていることが注目されています。

推奨量は、一度に1パックの半分、50gくらいの量。包丁を使わず調理できるため、味噌汁やスープの具などにサッと加えるとよさそうです。

食事のとり方の基本例

最後に、太りづらい体にするために毎日どんな食べ方をしたらいいのか、例を挙げてご紹介します。シンプルで続けやすい方法なので、ぜひ参考にしてくださいね。

朝食

◎炭水化物+たんぱく質+野菜or海藻+油
・ハムやベーコンエッグ、油を使ったサラダ、舞茸としらす干しの温ビシソワーズなどで乳製品をとると理想的。
・時間がない時などはスムージーもOK。ヨーグルトや牛乳などの乳製品と果物を加えるのもよい。

昼食

◎定食スタイル
・おにぎりだけ、パンだけ、麺だけ(炭水化物だけ)などの食事はNG。唐揚げやサラダをつけるなど、たんぱく質と油分をプラス。
・カレーやパスタにはサラダをプラス。ラーメンには卵・チャーシュー・わかめなどのトッピングを。
・炭水化物は最後に食べるようにする。

夕食

◎炭水化物+たんぱく質(肉・魚・卵・大豆)+野菜 +油
・主菜を揚げ物にしたら、副菜は油を控え、食物繊維が豊富な焼き舞茸のポン酢かけなどに。
・おかずは、じゃがいものコロッケとカボチャの煮つけなど、炭水化物の多いものの組み合わせは控える。

お酒とおつまみ

・糖質の多い日本酒やビールなども、食べながら飲めば血糖値の影響は少ない。ただし甘いリキュールなどは飲まないか食事の最後に楽しむ。
・つまみはチーズや肉料理、青魚など脂のある魚の刺身、豆腐や厚揚げ料理など(たんぱく質源)と、サラダや野菜炒めなどを合わせる。

 

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基本は、おかずから、ゆっくりとよく噛んで食べることが大きなポイントのようです。「食後血糖」に着目したおだやかな食べ方で、体の内側から健康的な体質をめざしてはいかがでしょうか。

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。