映画『インポッシブル』に出演したナオミ・ワッツ

ナオミ・ワッツがユアン・マクレガーと共演した映画『インポッシブル』が本日から公開されている。2004年のスマトラ島沖地震に遭遇し、離れ離れになりながらも再会を信じて生き抜いた家族を描いた作品で、ワッツは妻であり母でもあるマリアを演じている。

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映画は、カオラックのビーチで冬期休暇を過ごそうとしていた元医師のヘンリー(マクレガー)とその一家が、巨大地震に遭遇する場面から始まる。電話インタビューに応じたワッツは「当時と同じくらい真実を感じ取り、敬意を払うことが必要でした」と語り、撮影前には入念に準備をしたという。「水中のシーンは、スペインにある世界で2番目に巨大なタンクで4〜6週間かけて撮影されました。今回の撮影は、水中のシーンが毎日で、数百メートル泳いだりと沢山あったらからスタミナが必要で、疲労が重なりました」。

マリアは過酷な環境を生き抜くだけでなく、そばにいる息子のルーカスのことも見守らなければならない。しかし物語が進むにつれ、母も息子も変化を遂げていく。「ルーカスとマリアの間に、映画の出来事を通して深いつながりが生まれていく。その関係が好きです。(ルーカス役の)トム・ホランドは何の加工もされていなくて、心が開いている。才能に溢れていて、仕事がやりやすくて、元気づけてくれる。彼がいるとみんなの仕事が向上する。彼が真実だけを伝えているからだと思います」。本作は、災害ドラマでも家族劇でありながら、極限の状態の中で“ありふれた”関係であるはずの親と子、夫と妻の関係が変化していく過程を描いた人間ドラマだ。

ワッツは本作の演技が高く評価され、米アカデミー賞では主演女優賞にノミネートされた。思い返せば彼女は大作映画で活躍する一方で、クリント・イーストウッド、ウディ・アレン、トム・ティクヴァ、ジム・シェリダンなど、世界の名だたる映画作家たちと仕事をしている希有な女優だ。「優れた監督は脚本以上のものを作ることができます。いい脚本を台無しにしてしまう監督もいますからね。だからこそいい監督を選んで仕事をする事が大事です。私は運がいいと思います。『マルホランド・ドライブ』でデイヴィッド・リンチと仕事をした時にもそう思いました。たくさんの監督が彼の作品を参考にしているから。『ファニー・ゲームU.S.A.』で仕事をしたミヒャエル・ハネケからもたくさんの事を学びました。私は本当にラッキーだと思います」。

『インポッシブル』
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