MNP(携帯電話番号ポータビリティ)を利用すると、通常より携帯電話本体の機種代や月々の通信料金が安くなる場合が多い。6月1日、ドコモは「お乗りかえXiスマホ割」を、KDDI(au)は「auにかえる割」を開始した。どちらもMNPを利用して他社から乗り換えると、基本使用料が1年または2年間、無料になるというキャンペーンだ。ソフトバンクモバイルは、6月1日から、これまで提供してきたMNP向けキャンペーン「スマホタダ割」に加え、新たにMNPで「iPhone 5」を購入すると、機種代を割り引く「のりかえサポート」を開始した。そこで今回は、MNPを利用して最新スマートフォンに買い替えた場合の毎月の費用と、2年間のトータル費用をキャリアごとに試算してみた。

●MNP利用時の通信料金を比較 最低料金プランならドコモが安い

ドコモは、2013年夏モデルとして発表したスマートフォンのうち、「GALAXY S4 SC-04E」と「Xperia A(エース) SO-04E」を「ツートップ」と位置づけ、購入価格などで押し出す方針を打ち出した。MNPの場合、購入月を1か月目として、最大24か月間、機種ごとに設定した一定の金額を利用料金から割り引くサービス「月々サポート」適用後の実質負担額は、ともに0円だ。

ドコモ オンラインショップで一括払いで購入した場合の価格(現金販売価格)は、約5インチのフルHDディスプレイを搭載した「GALAXY S4」が8万3160円、約4.6インチのHDディスプレイを搭載した「Xperia A」が7万8120円で、「GALAXY S4」のほうが5040円高い。しかし、MNPの場合、「Xperia A」よりも「GALAXY S4」のほうが「月々サポート」による割引額の合計が多く(「GALAXY S4」は3465円×24か月の最大8万3160円割引、「Xperia A」は3255円×24か月の最大7万8120円割引)、実質負担額は同じく0円になる。どちらがいいかは好みがわかれるところだが、性能と本体価格を考えると、「GALAXY S4」のほうがおトク感は高い。

まずは、ドコモのMNP向けキャンペーンから試算しよう。MNPを利用して「GALAXY S4」または「Xperia A」を購入し、上限3GBまで速度制限なしで使い放題のフラット型パケット定額サービス「Xiパケ・ホーダイ ライト」に加入した場合、毎月のランニング費用(基本使用料+パケット定額サービス+インターネット接続料)は、「お乗りかえXiスマホ割」の適用によって、最大13か月間(購入月+12か月)は通常より780円安い月額5250円になる。14か月目以降は、基本使用料780円を含む月額6030円だ。

ドコモの場合、利用するデータ量に応じてパケット定額サービスのプランを選ぶことができ、上限7GBまでのフラット型パケット定額サービス「Xiパケ・ホーダイ フラット」の場合、最大13か月間は月額6300円、以降は月額7080円となる。

続いて、auとソフトバンクモバイルのMNP利用時の料金を試算した。2012年9月の発売以来、au、ソフトバンクモバイルが販売するスマートフォンのなかで、アップルの「iPhone 5」が最も多く売れている。MNPを利用して、その「iPhone 5」の16GBモデルを購入すると、キャンペーン適用後の毎月のランニング費用は、au、ソフトバンクモバイルとも月額5775円になる(ソフトバンクモバイルは、「スマホタダ割」で、基本使用料2年間無料の特典を選んだ場合)。最低料金プランで比べた場合、当初1年間はドコモが最も安い。

最低料金プランの場合で2年間のトータル費用を比べると、ドコモは13万4580円、auとソフトバンクモバイルは13万8600円となり、4020円の差がついた。ドコモのAndroid搭載スマートフォン「GALAXY S4」「Xperia A」は32GBの内蔵メモリを搭載し、外部メモリとして最大64GBのmicroSDXCカードに対応している。一方、「iPhone 5」は最も価格の安い16GBモデルで試算していて、より大容量の32GBモデルだと1万320円(分割払い時は月額430円×24か月)、64GBモデルだと2万640円(分割払い時は月額860円×24か月)、機種代として追加で支払う必要があり、差はさらに広がる。

なお、試算にあたり、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」については、MNPを利用して「iPhone 5」を購入すると、本体価格から2万1000円割り引くキャンペーン「のりかえサポート」の割引分は除外した。「のりかえサポート」適用時の2年間のトータル費用を比べると、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」が安くなる。

MNP向けキャンペーンを利用するときの注意点は、いま使っている携帯電話の2年契約の有無とタイミング。どのキャリアに乗り換える場合でも、2年契約の更新月以外は、9975円の契約解除料がかかってしまう。この負担をサポートするという名目で、キャッシュバック、ポイント付与など、店舗独自のキャンペーンが実施されている場合が多い。それらをうまく活用しよう。

●auの「iPhone 4S」ユーザーはそろそろ割引終了 乗り換えのチャンス到来

auは、「iPhone 5」向けにフラット型パケット定額サービスを、当初2年間、通常より525円安い月額5460円で提供するキャンペーンを実施している。「iPhone 4S」でも、同様のキャンペーンを実施していた。2011年秋にauの「iPhone 4S」を購入した人はもうすぐ割引期間が終了し、維持費が上がってしまう。

「月々サポート」「毎月割」「月月割」といった名称で各キャリアが提供している割引サービスの適用期間が終了しているなら、買い替えても損はない。すでにフラット型パケット定額サービスに加入している場合、実質負担額0円の機種を選べば、毎月支払う金額はほとんど変わらず、MNPを利用してキャリアを乗り換えれば、基本使用料が1年または2年間無料になるので、毎月のランニング費用はむしろ安くなる。コスト面だけではなく、2年前に購入したスマートフォンに不満を抱きながら使い続けるより、バッテリのもちや処理速度などが大きく向上した最新機種に買い替えたほうが、実用面でもプラスだ。

価格重視なら、発売直後の最新機種や人気機種が実質負担額0円で手に入るMNP向けキャンペーンを利用しない手はない。最低料金プランで比較すると、MNPを利用しない通常時でも、毎月のランニング費用はドコモがもっとも安く、主要3キャリアのうち、唯一、6000円台前半で済む。MNPを利用して実質負担額0円の機種を購入すれば、当初1年間はさらに安い5000円台で収まる。

MNP・機種変更問わず、新たにスマートフォンを購入する際の注意点は、契約事務手数料。各キャリアとも横並びで、新規(MNP利用時を含む)は3150円、機種変更は3150円または2100円の事務手数料がかかる。ただし、ドコモはドコモ オンラインショップで購入する場合、同じ回線種別(FOMAからFOMA、XiからXi)への機種変更に限り、通常2100円の契約事務手数料を無料にしている。機種変更を検討しているドコモユーザーは覚えておこう。

※本記事で紹介したキャンペーン内容・料金などは、2013年6月18日時点のものです。最新情報は、各キャリアのウェブサイトでご確認ください。