戸松遥『motto☆派手にね!』(『かんなぎ』OP)

戸松遥さんのセカンド・シングル『motto☆派手にね!』は、戸松さんがメインヒロインを演じたアニメ『かんなぎ』のオープニング主題歌として使用された楽曲。

中山美穂さんが1987年に発表した『「派手!!!」』をオマージュしたナンバーで、ホーンセクション風のサウンドや、ファンキーなベースライン、低音と高音を強調したドラムサウンドなど、80年代のアイドル歌謡曲のファンならば思わずニヤけてしまうようなサウンドが強い個性となっています。

戸松さんの歌唱もそうした80年代歌謡曲のエッセンスを意識したのか、やや鼻にかかったアイドル然とした歌声で、何とも初々しさを感じる仕上がりに。

現在では、ソロ曲やグループ曲で、その高い歌唱力と見事なコーラスワークを見せてくれる戸松さんですが、その原点のひとつとして決して外すことが出来ない初期の名曲です。

ちなみに、本曲の作・編曲を手掛けているのは、神前暁さん。神前さんは、『かんなぎ』で、劇伴や挿入歌も担当しており、そちらの楽曲でも素晴らしいサウンドを残されています。『かんなぎ』を未見の年若いアニメファンの皆さん、アニメ本編のストーリーや戸松さんの演技と合わせて、音楽面にもご注目ください。

可憐Girl's『Over The Future』(『絶対可憐チルドレン』OP)

椎名高志先生原作の同名漫画をアニメ化した『絶対可憐チルドレン』で、その主題歌を担当したのが当時小学生だったメンバーによって結成されたキッズアイドルグループ、可憐Girl'sです。

同作との一種の"メディアミックス"的なニュアンスも持っていたユニットで、アニメの放映とシンクロした活動期間内に2枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしています。

『Over The Future』は、同ユニットのファーストシングルで、『絶対可憐チルドレン』の前期オープニングとして使用された楽曲。ドラマティックで高揚感のあるシンセサウンドとキッズユニットならではの幼くも溌剌とした歌声を軸に据えたダンスポップナンバーです。

ちなみに、この可憐Girl'sの一人であった中元すず香さんは、現在、「SU-METAL」名義で、BABYMETALのメンバーとしてワールドワイドな活躍をされています。

『絶対可憐チルドレン』の放映当時は、まさか、その主題歌を歌っていた女の子が世界中で有名ヘヴィメタルバンドと共演したり、大規模なロックフェスに出演するような大物アーティストへと成長を遂げるとは夢にも思っていなかったわけですが……ある意味で、「10年」という時の流れを最も体感させてくれる1曲といえるでしょう。

石田燿子『STRIKE WITCHES ~わたしにできること~』(『ストライクウィッチーズ』OP)

2008年を象徴するヒットアニメのひとつが『ストライクウィッチーズ』。アニメ放映時のキャンペーンで使用された「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」という奇抜(過ぎ)なキャッチコピーに代表される斬新な設定と硬派なミリタリー描写をメインとした巧みな作劇や、個性豊かな少女たちが織り成す人間ドラマで、アニメファンの話題を集める人気作に。続編や劇場映画も制作されました。

ベテランアニソンシンガーの石田燿子さんが歌う主題歌『STRIKE WITCHES ~わたしにできること~』は、ポップでキャッチー、尚且つ、スピード感のあるメロディがアニメのイメージにもピッタリで、作品と強くマッチした主題歌に。

石田さんのチャーミングな歌声は、本曲の明るいイメージを強くブーストしており、ポジティヴなエネルギーに満ちた本曲のパワーをより一層強力なものにしています。

ビート感を強調した打ち込みの低音もカッコ良く、"可愛さ"の中に"強さ"を感じられる点も高評価したいポイントです。実にアニソンらしいアニソンですが、その真っ直ぐさがひたすら気持ち良い良曲。