PCとの無線LANにも対応した「ScanSnap iX500」

家電量販店の実売データを毎日集計し、PCやデジタル家電などの年間販売数量No.1メーカーを表彰する「BCN AWARD」。この「BCN AWARD」のスキャナ部門で3年連続No.1に輝いたのが「ScanSnap」シリーズを発売するPFUだ。2012年11月発売の「ScanSnap」シリーズの上位モデル「ScanSnap iX500」が、5月末のアップデートですでに対応していたスマートフォン、タブレットに加えPCとの無線LAN接続に対応した。新たに追加された機能の使い勝手を試した。

●ドキュメントスキャナが大注目 ペーパーレス化の流れが後押し

いま、ドキュメントスキャナが人気を呼んでいる。ビジネスシーンで発生する大量の紙資料を簡単にペーパーレス化するドキュメントスキャナは、以前からオフィスで使われてきた。さらに最近は、スマートフォン、タブレットがPCと同じ形式のデータを扱うことができるようになっているので、スキャンデータを気軽に持ち出せるようになった。

PFUの「ScanSnap」シリーズの人気の理由は、モバイル時代のニーズに合った「カンタン」「スピーディ」「コンパクト」の三拍子を実現していることにある。例えば、原稿のサイズ検知や各種補正などの自動化機能もその一つ。スキャンするときの手間をできる限り軽減し、ボタンのワンプッシュであっという間にデータ化する「カンタン」「スピーディ」は、忙しいビジネスマンや主婦にとってはとてもありがたい。

こうした特徴をさらに便利にするのが、シリーズ最上位モデル「ScanSnap iX500」が追加したPCとの無線LAN接続機能だ。これまでスマートフォン、タブレットへの直接転送は可能だったが、PCとはUSBケーブルでの接続が必要だった。今回、PCとの無線LAN接続にすることで完全にケーブルレスで使うことができるようになったのだ。多くのユーザーからの要望に応えて、無償アップデートで提供するこの機能拡張からは、PFUがこだわる“ユーザー目線”の姿勢をうかがい知ることができる。

●無線LAN機能を備えた「ScanSnap iX500」の便利さを体感!

無償アップデートは、PCにインストールしたマネージャのアイコンを右クリックして、オンラインアップデートを選択するだけ。「ScanSnap iX500」を持っていて、まだアップデートをしていない人は、ぜひすぐにアップデートしよう。

では、実際にアップデートした「ScanSnap iX500」で、無線LAN接続機能の使いやすさをレポートしよう。これまでは、PCとUSBケーブルで接続するために、必然的にPCの近くに「ScanSnap iX500」を設置する必要があった。しかし、無線LAN接続なら置き場所は自由。また、接続したPCを会議や外出時に持ち出すとき、ケーブルを外す手間がない。

実は今回「ScanSnap iX500」を初めて使ったのだが、まず驚かされたのはスキャンスピードとデータ化までの速度。書類や名刺をセットしてScanボタンを押すとあっという間に取り込み、PCにPDFデータを保存する。この操作の小気味よさは「電子化は面倒で時間がかかるのでは」という先入観をみごとに覆してくれた。もちろん、無線LAN接続にしても機能や性能はUSB接続時と変わらず、スピードが損なわれることはない。

このスキャン速度を実現しているのが、「ScanSnap iX500」が搭載するデュアルコアCPU「GI」プロセッサだ。画像の処理スピードを飛躍的に高めたことで、快適なスキャンを実現。A4カラー両面の原稿で毎分25枚/50面の高速読取りができる。また、A4原稿で50枚までセットできるシートフィーダーの安定した給紙は、業務用スキャナの高度な技術を採用したもの。大量の原稿も手間なく快適にPDF化できるのがうれしい。

さらに、本体と連動する付属ソフトも充実している。PCに表示される「クイックメニュー」には、保存やメール送信、印刷といった基本的なメニューのほかに、EVERNOTEやDropboxなどのクラウドサービスと連携する機能(メニュー)も装備。名刺管理ソフトや家計簿ソフトとの連携も、画面に従っていくだけで簡単に操作できる。

また、スマートフォンやタブレット端末に、専用アプリ「ScanSnap Connect Application」(無料)をインストールすれば、「ScanSnap iX500」からスマートフォン/タブレットに直接PDFを転送することができる。これには端末と「ScanSnap iX500」が同じ無線LAN環境下にいることが条件だが、ステップに従って操作するだけで簡単に設定できる。

PCを介さなくてもスマートフォンなどから直接スキャンを実行でき、そのPDFを端末に自動転送してくれる。外出の前にメモや書類をスキャンして持ち出したいときにはとても重宝する。スキャンしたデータの活用まで、幅広くカバーしてくれるのが、「ScanSnap iX500」の大きなメリットなのだ。

PCと無線LANで接続することでケーブルレスとなり、デスク周りがすっきりする。さらに、PCの横に設置する必要がないので、置き場所も自由だ。家電感覚で手軽にスキャンできるので、ビジネスマンだけではなく家庭でも活躍するだろう。これまで購入に悩んでいた人もPCとの無線LAN接続に対応した「ScanSnap iX500」は買いだ。

●まったく新しいカタチの次世代スキャナがこの夏登場!

「ScanSnap iX500」を筆頭に魅力的なラインアップを揃えるPFUは、7月に新モデル「ScanSnap SV600」を発売する。「ScanSnap SV600」は、足元に置いた原稿を上から照らす要領で読み取るまったく新しいドキュメントスキャナだ。

新開発の「VIテクノロジー」を採用したヘッド部分に、広くピントが合う「高被写界深度レンズ」や「高指向性LED光源」「ライン型CCDセンサー」などを備え、A3サイズまでの原稿をすばやくスキャンできる。原稿は下に置くだけなので、新聞ならいちいち切り抜く手間いらずで、書籍もバラすことなく電子化できる。

見開きにした本の湾曲を自動補正する「ブック補正」機能や、ページをめくったことを自動検出して連続スキャンする「ページめくり検出」機能など、書籍をスキャンする便利機能を多数搭載している。なお、書籍をスキャンしてデジタル化して楽しむ「自炊」は、個人で楽しむのではあれば問題ないが、ウェブサイトなどにアップロードしたり、販売したりする行為は著作権法違反となるので注意してほしい。

また、名刺などのサイズが小さな原稿は、複数枚を並べて一度にスキャンすることができる。名刺のサイズを検出して一枚ずつを自動的に認識し、別々の原稿データとして保存する。まさに、デジタルカメラ感覚の手軽なスキャンが可能だ。

本体はスタンド型の省スペースタイプなので、置き場所を選ばない。オフィスはもちろんのこと、大学や病院、銀行などの相談窓口など、活用シーンは広がる。さらにスマートフォンやタブレット端末がますます普及していくなかで、家庭での活用法も生まれてきそうだ。まさにエポックメーキングなモデルと呼べる「ScanSnap SV600」の登場で、スキャナのニーズとその活用はさらに広く、深く進化していく。(フリーライター・石川貢士)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。