<家電激戦区を歩く>北海道・札幌市(2) 店舗の強みを生かした取り組み 客層拡大の成功事例も

2013.6.26 15:13配信
ケーズデンキ月寒店のフロア構成

札幌市の家電量販店では、近隣の競合店が取り込んでいないお客様を自店で囲い込むために、体験コーナーの充実や他店にはない商品の取り扱いによって、来店を促進。市内中心部と郊外では、お客様の数こそ違うが、強みを生かしてリピーターを確保するという点については、共通の取り組みがみられる。(取材・文/佐相彰彦)

<店舗>

●ケーズデンキが新店オープンで攻勢 競合店と一線を画すヨドバシカメラ

札幌市で最も店舗が多いのは、テックランド10店舗を構えるヤマダ電機。これと郊外で激しい競争を繰り広げているのが、ケーズデンキだ。今年4月11日には、豊平区にケーズデンキ月寒店をオープンした。

ケーズデンキにとって市内4店舗目となる月寒店は、月寒東ショッピングセンター内にある。さまざまな業種の入る総合ショッピングセンターで、3月にブックオフ月寒店が先行オープンし、コープさっぽろとリサイクルショップも出店を予定している。この核テナントとして位置づけられるのが、ケーズデンキ月寒店だ。「オープンには、多くのお客様が来店してくださって、幸先のいいスタートを切ることができた」と、ケーズデンキ月寒店の坂本浩司副店長は満足げだ。

オープンからおよそ1か月が経過した5月中旬の時点で、すでにリピーターを確保している状況。「これまでわざわざ遠くのケーズデンキまで出向いていたというケースデンキファンの方もいらっしゃる。とくに、近隣に住む年配の方が頻繁に訪れてくださっている。競合店に足を向けていたお客様も来店してくださる」という。

郊外店が近隣住民を固定客として確保する一方で、再開発によって街に多くの人が集まるようになった札幌駅周辺の家電量販店では、お客様の絶対数が多く年齢層も幅広い。店舗間の距離が短い駅前では、お客様は複数の店舗を回って商品や価格を比較・検討するので、何でも揃う品揃えと他店に負けない価格などをアピールすることが売り上げに直結する。

1995年のオープンという歴史と圧倒的な知名度を誇るヨドバシカメラマルチメディア札幌では、20~40歳台のお客様が来店していることはもちろん、「50歳台の方々にもリピーターになっていただいている。高齢の方も多い」と、千田卓副店長は駅周辺の競合店が獲得していない客層の確保に自信をみせる。

A4サイズのわかりやすいフロアマップを出入口近くのラックに置いているほか、各フロアでは展示品を手づくりのPOPでアピール。ていねいで親切な接客や、約1万m2の売り場面積を生かしたゆったりとしたコーナーとストレスのない広い通路なども奏功して、駅前店舗では確保することが難しい高齢者層を獲得しているのだ。

●【売り場】実演がお客様を増やすカギ

女性が頻繁に訪れるようにする工夫

札幌駅前の家電量販店では、体験コーナーの工夫に余念がない。最近、各店舗が力を入れているのが調理家電の体験コーナーだ。コーナーでは、スタッフが調理した料理をお客様に試食してもらう実演イベントを行っている。

札幌駅から少し離れた繁華街、市営地下鉄大通駅の近くにあるヤマダ電機テックランド札幌本店では、平日には近くに勤務する会社員がよく来店するが、週末はファミリーが中心。そこで、「休日には、定期的にビルトインタイプのコンロで料理の実演イベントを開催している」(谷正彦副店長)という。数多くある調理家電のなかからビルトインタイプのコンロを選んでいるのは、「お客様から機能や使い勝手の問い合わせが多い」というのが理由だ。この実演は、ヤマダ電機が力を入れているリフォーム案件の獲得につながっているという。

ビックカメラ札幌店は、ファッション関連のテナントが多いターミナルビルのESTA内に出店していることから、高校生や大学生など若者の来店が多く、「ホームベーカリーの試食会が好評」(五十嵐英樹副店長)。またヨドバシカメラマルチメディア札幌では、「調理実演」の看板を掲げたブースで行う実演が、いまや店の名物だ。

郊外店では、近隣に住む主婦層をお客様として囲い込むために、理美容品コーナーの拡充を図っている。イオン札幌西岡ショッピングセンターにテナント出店するコジマNEWイオン西岡店は、買い物ついでに立ち寄る主婦が多い。相澤雅巳店長によれば、「理美容品は、平日・休日を問わずに売れる。とくに体験コーナーの充実が購入に結びついている」という。

ケーズデンキ月寒店では、「理美容品コーナーを出入口近く置いたことで、夕方、主婦が買い物帰りに来店してくださる。予想通りの売り上げが出ている」と、坂本副店長は手応えを語る。

●【品揃え】独自商品で差異化を図る専門店

気軽に購入できる小物の販売も

デジタル機器と白物家電の両方を販売する総合家電量販店では、「何でも揃う」ことをコンセプトに品揃えを充実させ、しかも他店では取り扱っていない商品で差異化を図っている。「音にこだわるお客様向けの高級スピーカーは、どの店舗にも負けない」(ヨドバシカメラマルチメディア札幌の千田副店長)や、「平日に来店される会社員をターゲットに、書籍を販売している」(ヤマダ電機テックランド札幌本店の谷副店長)ことが代表例だ。

パソコン専門店は、パーツの品揃えは当然だが、そのほかグループ会社の強みを生かした商品や量販店が販売していない商品の取り扱いなど、量販店との差異化を図る取り組みに懸命だ。

DEPOツクモ札幌駅前店は、「パーツの品揃えは札幌市で最大級」(河野盛男店長)と自負する。JR札幌駅の高架下にあるショッピングモールのサツエキBridgeにテナント出店しているDEPOツクモは、売り場面積が約990m2で、うちの半分をパーツコーナーとして展開。お客様には、自作パソコンの上級者が多い。一般の完成品パソコンや周辺機器、デジタルカメラやプリンタなどのデジタル機器も販売し、学生などをお客様として獲得している。

ドスパラ札幌店は、「グループ会社の上海問屋の商品が順調に売れている」(鈴木基希店長)という。駅前という立地によって、会社員や学生などが上海問屋コーナーに気軽に来店。そのお客様がリピーターとなって、パソコンの販売にもつながっている。

イオンタウン札幌平岡店の敷地内に出店するパソコン工房イオンタウン平岡店は、「週末にイオンタウンを訪れるファミリーや学生をターゲットにして取り扱っているスマートフォンアクセサリがお客様の年齢層を広げ、売上増につながった」(石川雅洋店長)という。以前は40歳以上の男性、つまり父親だけが来店していたものが、今では母親や子どもを含むファミリーをターゲットとして想定できるようになった。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年6月17日付 vol.1485より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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