実は……先月、上海に行った時に「自分は一体どうしたら」って強烈に思ったんです。
SNH48を引っ張ってゆく存在としてAKB48から留学したのに、いまの自分じゃ彼女たちを動かせないと思い知らされたことが、先月の上海滞在中にいくつかあったんです。ひとつひとつは小さなことかもしれないけど。帰国してから総選挙までの約2週間もSNH48へのキモチが盛り上がったり冷めたりしながら、とにかくずーっと頭の片隅から離れなかった。それで総選挙の会場でSNH48の子たちの顔を見たら、上海のこと、SNH48のことが、一気に頭に、心に、魂に押し寄せてきて。

――上海滞在中にあったこと、というのは?

前にもお話したように、まずはステージパフォーマンスのレベルの問題もあります(第14回[宮澤佐江がSNH48コンサートで感じたこと&中国語スピーチ反省会!?])。SNH48の子たちはダンス歴もまだ半年ですから仕方がないんですけどね。

彼女たちの指導に今以上にもっともっと力をいれて、SNH48のレベルを上げていきたい。でもそれには、1ステージのリハでメモ帳がびっしりと埋まるくらいに、もう問題が山積み過ぎて……。

そう思ってもSNH48メンバーは彼女たちだけで何ヶ月も同じ時間を過ごしてきているし、絆も深まっているんです。たとえこっちがSNH48に100%捧げるつもりでも「先輩はAKB48の方もあるじゃない?」っていう意見が出てくるかもしれないし。ダンスの振りに限らず、すべてにおいて、すでに彼女たちのやり方があるから動かせないのかもと考えてしまったんです。

――そうでしたか。

一度は本気で「もう無理かも!」って思いました。だけど日本で彼女たちの顔を見たら、また心が揺れに揺れて。そんななか、コンサート本番でステージに上がる前の円陣を組んだ後に、SNH48のメンバーがあらためて、私に会いにきてくれたんです。

その時にぶわーっと涙が出てきちゃって。でもそれが何の涙かも自分で分からない。SNH48のダブルセンターのふたり、SAVOKI(赵嘉敏)とタンミン(汤敏)はセンターとしてのプレッシャーや、そのための体調不良と戦ってきたからかな、「だいじょぶ、だいじょぶ、さえ、さえ、できるよ」って、日本語で佐江のことを励ましてくれました。

転がる石になれ

ドンちゃん(董芷依)とウーちゃん(吴哲晗)は人を元気づけるキャラだから、敢えて明るく“加油!”って言ってくれて。優しいシャオアイ(陈观慧)は佐江の横で寄り添うように、心配をしてくれました。タコちゃん(张语格)とまりやんぬは、一緒に黙って涙を流してくれました。

――そしてSNH48の仲間たちに見送られながら、選挙前のイベント、コンサートのステージに駆け出した……

コンサートはすっごく楽しくて、パフォーマンスもめっちゃ頑張りました!ファンの方たちとも笑顔を交わして、たぶん誰よりも走ったし(笑)、日産スタジアムを2周くらいしたかなぁ。でも……

――でも?

ライブはライブで100%のパフォーマンスを見せながら、もうひとりの自分が、100%の気持ちでSNH48のことを考えていた。100%と100%で頭がパンクしちゃって、ライブ中の記憶もところどころ飛んでいるくらい……どっちも嘘がない本当の自分だけど、魂も身体も、日本と上海でバラバラになっちゃっていたというか。たぶんそれが重なってひとつになったのが、あのステージ上の「SNH48一本でいきます!」宣言だったんだと思います。

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