窪塚洋介が芸術家イサム・ノグチに扮し、その魂を現代に伝える

2013.6.28 15:37配信
窪塚洋介  撮影:尾嶝 太 窪塚洋介  撮影:尾嶝 太

演出家の宮本亜門が芸術家イサム・ノグチの生涯に着目し、構想に3年をかけて作り出した舞台『iSAMU?20世紀を生きた芸術家 イサム・ノグチをめぐる3つの物語』が8月、上演される。一昨年の公開リーディング公演、今年1月のプレ公演と試行を重ねた意欲作の最終章だ。日本人の父とアメリカ人の母を持ち、波瀾の人生を歩みながら数々の作品を世に残した彫刻家イサム・ノグチ。映画や舞台で個性際立つ活躍を見せる俳優・窪塚洋介が、本作でイサム役に挑戦する。「これは楽しめそうだな、そんな直感で決めました」と語る窪塚に、孤高の芸術家に迫る今の心境を訊いた。

舞台『iSAMU』チケット情報

「イサムのことを調べていたら、『大統領になるくらいなら真実を追求したい』といった彼の言葉が出てきて、すごく共感したんですね。矛盾していたり真逆だと感じるものの中に、物事の本質はあるような気がして。また、子供の頃から漠然と“ド真ん中に立っていよう!”という考えを持っていたんですが、それは自分自身が信じるド真ん中であり、イコール世界のド真ん中でもあった。“世界の中の自分”のような空間の把握の仕方やバランス感覚などは、イサムの世界観に通じるものがあるかもしれないなと。そんな僕自身の身体に染みついた感覚が、うまく作品に作用していけばいいなと思っています」

これまでに出演した3作品の舞台は、いずれも演出家・蜷川幸雄との作業だった。「蜷川さんに精神的にも、技術的にも役者として向上させてもらった」という自信を糧に、新たな演出家との出会いに期待を募らせる。「まだこれが4回目の舞台。宮本さんの胸を借りて、新しい体験の一つ一つを大事に、曇りなき眼で見ながらやっていきたいです。舞台は役者の集大成の場だな…と経験を積むごとに感じますね。全員が同じ板の上に立って、頭の先から足の先まで見られている。すごくフェアで気持ちのいい場所だと思うけど、裏を返せば怖い場所です。でもその怖さは、稽古をすることで良いプレッシャーに変えられるから」

物語はイサムの幼少期、壮年期、イサムのいない現代の3つの時代が交錯して展開し、それぞれの時代で彼と関わり合う女性たちが登場する。母親レオニーをフランス人女優ジュリー・ドレフュスが、イサムの結婚相手である山口淑子(李香蘭)を美波が演じ、またイサムの遺した作品に影響を受ける現代の女性役を小島聖が担う。イサムと対峙する女性たちのドラマを通して、彼の生きざまから沸き上がるメッセージが観客席にも届けられることだろう。

「自分の内側から聞こえてくる声に耳をすまし、自分のやりたいことの火種をみつけて燃やそうと動き出す。皆さんにとってこの作品がその力となれば嬉しいです」

公演は8月15日(木)から18日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、8月21日水)から27日(火)まで東京・PARCO劇場にて。両公演のチケット一般発売は6月29日(土)午前10時より。

取材・文:上野紀子

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