<家電激戦区を歩く>北海道・札幌市(3) ベテランが提供する「わかりやすさ」 「安心感」もポイントに

2013.7.1 11:4配信

北海道の経済・文化の中心地である札幌市は、道内外から人口が流入する。また、市内で生まれ育った人が市を離れるケースは少ない。その意味では東京に似ているといえるだろう。家電量販店やパソコン専門店にはそんな地元出身者が多く、店舗経験のベテランたちが揃っている。彼らがお客様に提供するサービスは、「わかりやすさ」と「安心感」がポイントになっている。(取材・文/佐相彰彦)

→北海道・札幌市(1)から読む

<接客・サービス>

●地元出身者が腕を振るう 市内の事情を知り尽くした店長たち

札幌市の家電量販店の店長・副店長には、北海道出身者が多い。ヨドバシカメラマルチメディア札幌の千田卓副店長は、同店でのキャリアが10年以上になる。道内から札幌市に移り住んだのは大学に入学したときで、2000年に札幌店が移転してマルチメディア札幌となった1年後に入社。「ヨドバシは高架下にあった頃から知っている。いつも活気に溢れていたのをみて、入社を決めた」という。以来、同店を離れることなく、今は副店長として腕を振るう。

ビックカメラ札幌店の五十嵐英樹副店長は札幌市出身で、2001年の同店オープンに参画。「当時の札幌駅前はまだ店が少なく、人通りも多くなかった。札幌店の発展で駅前を活性化したいという意識をもっていた」と振り返る。今もその気持ちは変わらないという。

ヤマダ電機テックランド札幌本店の谷正彦副店長も、札幌市出身。道内のヤマダ電機の店舗をいくつか経験し、札幌本店の副店長として戻ってきた。札幌本店については、「北海道のリーダーになるべきコア店舗」と位置づける。

今年4月にオープンしたケーズデンキ月寒店の坂本浩司副店長は東北出身で、秋田や青森、仙台など、東北の店舗で業務に携わってきた。このエリアのケーズデンキの店舗は、仙台を中心に東北で絶大な知名度を誇るグループ会社のデンコードーが運営している。札幌市内は月寒店が4店舗目で、「東北に比べると知名度は低い。店舗のある豊平区だけでなく、隣接する清田区などからも来店していただけるよう、知名度を高めていきたい」という。

コジマNEWイオン西岡店の相澤雅巳店長は、2010年5月のオープンから業務に携わっている。NEW泉中央店など、宮城県での経験が長いが、「郊外店として近隣住民を固定客にするという点では同じ」と、イオン札幌西岡ショッピングセンター内にテナント出店している強みを生かして、お客様の獲得に成功している。

パソコン工房イオンタウン平岡店の石川雅洋店長は、他社のパーツ専門店に勤務していた経験をもつ業界16年の大ベテランだ。パソコン工房を運営するユニットコムでは、道央エリアのリーダーを兼務していたこともある。その石川店長が考えている専門店の成功手法は、「ショッピングモールに出店して、専門店ならではの接客で多くのお客様にパソコンの魅力を訴えること」だ。

札幌駅前にあるDEPOツクモ札幌駅前店の河野盛男店長は、ツクモ歴18年。入社以来、移転を繰り返した同店で勤務し、「札幌市を離れたことがない」という。市内のパーツ事情を知り尽くす河野店長は、札幌駅前店を市内最大級のパーツ専門店に育て上げた。

●【接客】

駅前店はエキスパートを配置 郊外店は信頼関係を築く接客

札幌駅前の家電量販店では、多くのお客様からさまざまな問い合わせがある。その要望に積極的に対応しようとしているのが、ヨドバシカメラマルチメディア札幌だ。売り場では、例えば「スマートフォンの達人」など、肩からタスキをかけた商品カテゴリごとのエキスパートを配置し、お客様が商品について誰に聞けばいいのか、ひと目でわかるようにした。また、分野を横断してさまざまな商品に詳しいコンシェルジュも配置し、「引越しなどでのまとめ買いに対応している」という。

ヨドバシカメラマルチメディア札幌と同じく駅前に店舗を構えるビックカメラ札幌店は、女性の来店が多く「スタッフが商品機能に習熟することで、お客様に生活シーンをイメージしていただけるような接客にこだわっている」(五十嵐副店長)という。この接客は、お客様からの評価はもちろん、今年1月に開催されたショッピングセンター業界の第18回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会に出場したスタッフが準優勝に輝いたほど。

1フロア構成のコジマNEWイオン西岡店では、「スタッフがさまざまなコーナーを担当できるように商品知識を習得している」(相澤店長)と自信をみせる。お客様にとって、「誰に聞いても対応してくれる」体制を敷くことで、「主婦を中心に近隣住民が気軽に来店してくださる」という。

ケーズデンキ月寒店は比較的高齢のお客様が多く、「納得してご購入いただけるように、ゆっくり時間をかけて接客している」(坂本副店長)という。オープンしてからまだ間もないが、この接客手法はお客様からの信頼を高めることにつながっているようだ。

●【サポート・サービス】

専門性の高さで「安心」を提供 独自サービスで来店促進

パソコンは、トラブルや修理の際にお客様が専門店に持ち込むケースが多い商品の一つ。専門店のほうが、アフターサービスが充実しているからだ。店舗では、こうしたお客様を囲い込むために、専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。修理をきっかけに来店したお客様にオリジナルパソコンを販売することも、重要な収益確保の手法になる。

ファミリー客が多いイオンモール札幌平岡敷地内にあるパソコン工房イオンタウン平岡店は、500円でパソコンの状況を調べる「ワンコイン診断」が好評だ。「パソコンのトラブルというお客様の不安を解決すると、皆さん安心した顔をされる」(石川店長)と、店舗への信頼度の向上にもひと役買っている。なかには手の施しようがないパソコンを持ち込むお客様もいるが、その際は「用途に応じた性能のパソコンを提案することで購入を促している」という。

「お客様と同じ目線で対応することがモットー」(鈴木基希店長)というドスパラ札幌店では、初心者へのサポート・サービスが充実している。地上4階建ての3階にテクニカルカウンターと総合修理受付を設け、専門のスタッフを配置。「ゆっくり話を聞いて、トラブルを解決している」という。

DEPOツクモ札幌駅前店では、市内最大級のパーツの品揃えを強みに、パソコンの組み立てサービスを提供している。「きちんと動作チェックを行うことで、お客様が安心して購入される」(河野店長)。

住宅メーカーをグループ会社にもつことで他店では真似のできない独自のサービスを提供しているのは、ヤマダ電機テックランド札幌本店。専門店コーナーを設け、一戸建てやマンションのリフォームに力を入れ、専門スタッフを配置している。

→北海道・札幌市(4)に続く(2013年7月8日掲載)

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年6月24日付 vol.1486より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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