横浜市西区にある、自販機に隠れて目立たない所にポツンと存在している「二宮金治郎像」。なぜこんなところにあるのか、町の人はこの像のことを知っているのか、調査してみました!
 

二宮金次郎像が存在しない!?

小田原市の「二宮尊徳記念館」に立つ、二宮金次郎の像

幕末の農政家、二宮尊徳(にのみやそんとく・たかのり)は、1787(天明7)年、農家の長男として現在の小田原市で生まれた。

幼少の頃の名前を金治郎(金次郎)といい、後に名字帯刀が許されたときに二宮姓を名乗る。従って、二宮尊徳、もしくは単に金治郎という表記が正しいのだろう。

しかし、ここでは一般的な「二宮金次郎」で統一させていただく。

さて、今回の依頼は、そんな二宮金次郎像についてのもの。

まずは、取材に先立って、この渡辺ビルの管理会社に確認の電話をしてみた。
すると、「うちにはそんな像はないよ、別の場所じゃないの」と言われてしまった。

しかし、現地へ行ってみると、自動販売機に行く手を阻まれ、行き場を失ってしまったかのような像があった。設置してある場所は、「渡邊直治商店」という瀬戸物店の一角。

問題の二宮金次郎像

自販機に隠れ、目立たない所にポツンと存在している。

なぜこんなところにあるのだろう。町の人は、この像のことを知っているのだろうか。

 

知っていたのは、3件隣の中華屋さんのみ

現地近くの、西平沼交差点を行き来する人に、像のことを聞いてみた。
しかし、全くと言っていいほど、その存在を知らないようだ。

最寄りの京浜急行戸部駅側(店舗向かって右側)から来ると、全く視界には入らないこの像。
同ビルに勤める人でさえ、その存在に気づかないのも、無理はない話なのかもしれない。

同店外観、左隅に金次郎像がある
すぐそばの中華屋にも聞いてみた
 

中華料理来々軒のオカミさんによれば、ご自身は、例の自動販売機でジュースを買うので、像のことは知っていたという。戸部駅は道の反対側にあるので、こちら側は人通りが少ないから、意外と町の人は気づかないのではないかと話していた。

そんな状況が分かったところで、いよいよ「渡邊直治商店」のご主人に、事情を伺ってみることにした。

 

実は、かつては売り物だった二宮金次郎像

広光さんと金次郎さん、広光さんは左の方

対応いただいたのは、3代目となる同店のご主人、渡邊広光さん。

店は、主に陶器やガラス製品の卸(おろし)を行っており、一般客への小売りは扱っていないそうだ。

問題の像について話を伺ったところ、2代目の父親が30年以上も前に仕入れてきたもので、詳細は分からないそうだ。唯一分かっているのは、父親が同店で取り扱う信楽焼を仕入れに行ったついでに、小便小僧などと一緒に買い付けをしてきたということ。

当時はバブルで景気が良かったので、もしかしたら売れるかも知れないと、考えたそうだ。
 

実は、陶器の金次郎像なのである
粘土ならではの細かい造作も、各所に見受けられる