人類の進化?「ニュータイプ」

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アニメ雑誌の名前にもなっている「ニュータイプ」。スラング的には“超能力じみた直感を備え、先読みができる人”として使われることが多い。あなたがビジネスの現場で直感を信じて思わぬファインプレーを繰り出したとき、上司が「まるでニュータイプだな」と評してくれたなら、間違いなくその上司はガンダムオタクだ。

初代ガンダムから登場している歴史の長い言葉だが、作品や発言者によって定義が安定しない。ガンダム生みの親・富野由悠季監督でさえ、時期によって発言内容が変わっている始末。いちおう理想としての意味は“宇宙で生活するようになった結果、認識力が高度に発達して、他者と誤解なくコミュニケーションが取れるようになった新人類”だそうだ。

もっぱら実際のガンダムシリーズ内では、直感力の高さ=機動兵器に乗って宇宙戦闘する際の腕前ということで、ニュータイプをエースパイロットの代名詞とすることが多い。深く突き詰めたらジオニズムがどうたらこうたら……と際限ないので、上司との会話中ではスラング的に“直感のすぐれた人”という認識でオッケーだろう。

ついでに、ニュータイプと対になる言葉として「オールドタイプ」「強化人間」もチェックしておきたい。オールドタイプはその名の通り、ニュータイプではないパイロットを指すことが多い。ただしガンダムの世界ではニュータイプを圧倒するオールドタイプも複数いるので、上司からオールドタイプと評されても気落ちする必要はない。感性が古い人間だとネガティブに評価された可能性がある反面、地味だが堅実な仕事ぶりをポジティブに評価されている場合も考えられる。

むしろ注意すべきは強化人間のほうで、これはニュータイプの理想論を取っ払って“薬物などの手段でニュータイプと同等の戦闘力を出せるように改造された人間”を指す。たいていのガンダムシリーズでは有能なライバルキャラクターとして登場するが、強化人間=最終話までに死亡というパターンが確立されているため、上司から「君はガンダムの強化人間みたいだな」と言われたら要注意。成果を出すために無茶し続けているあなたを心配しているのかもしれないし、最悪、使い捨ての道具扱いされている危険もあるだろう……。
 

「スタンバる」「汚名挽回」…こんなところにもガンダム用語が

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意外なところでは「スタンバる」=用意する、スタンバイする もガンダム発祥の言葉。初出は『機動戦士ガンダム』で、シリーズを代表する名艦長・ブライトが発した。ブライト艦長は主人公のアムロ以上に名言と珍発言が多く、おそらくセリフ集を作れば“赤い彗星”ことシャアの次に充実したものになるだろう。

もしあなたの上司が「スタンバっておけよ」や「甘ったれるな!」を多用したり、いきなり「なにやってんのよ!」と語尾が“おネエ言葉”に変わったりする場合、ブライト信奉者の可能性が高い。苦労人であることを自覚しているタイプなので、あまり心労を背負わせないよう配慮してあげよう。決して盗んだモビルスーツで会社を飛び出したりしてはいけない。

もう一つ、ガンダム発祥かどうかは怪しいが、シリーズ2作目『機動戦士Ζガンダム』で有名となった言葉に「汚名挽回」がある。これは作中通じて主人公のライバルポジションだった軍人・ジェリド中尉が発したセリフ。もちろん正しくは「名誉挽回」または「汚名返上」なので、脚本家か声優のミスだと思われる。

ビジネスシーンであなたが汚名挽回と言った際、たいていの上司は「君は正しい日本語も知らんのか?」と突っ込んでくるはずだが、笑いながら「君はジェリドか」と返してくるようなら、紛れもなくガンダムオタクな上司と判断できる。