(左から)大西信満、真木よう子、大森立嗣監督

女優の真木よう子が2日、都内で行われた主演作『さよなら渓谷』の凱旋会見に共演する大西信満、メガホンを執った大森立嗣監督とともに出席した。第35回モスクワ映画祭で、グランプリに次ぐ審査員特別賞を受賞。3人は会見当日の午前に、モスクワから帰国し、それぞれに喜びを語った。

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本作で7年ぶりの単独主演を飾った真木は「私にとっては、出会えたことがすごく光栄な作品。苦しい思いを分かち合った現場で、信頼関係があふれていただけに、賞を受賞できたのは『うれしい』という言葉だけでは言い表せない。本当に自信をもらいました」と感無量の面持ち。同時に「カンヌでも(出演作の『そして父になる』が)賞をいただき、自分におごるなよと言い聞かせている。今後はより一層、気持ちを引き締めて現場に臨むことになるはず」と真摯に語っていた。

都会から離れた緑豊かな渓谷を舞台に、のどかな町で起こった幼児殺害事件と、その隣家で暮らすかなこ(真木)と俊介(大西)の夫婦の“隠された過去”を描いた愛の物語。原作は吉田修一の同名小説。同映画祭で、日本映画が審査員特別賞を受賞するのは羽仁進監督の『手をつなぐ子ら』以来48年ぶりの快挙。今年はノミネートされた16作品のうち、本作『さよなら渓谷』が唯一の日本映画として、国際舞台でしのぎを削った。

大森監督は「深い人間関係が描かれているという受賞理由を聞いて、それは俳優が認められたのだとうれしく思った。ある審査員からは『日本映画は過剰な演技が多いが、この作品は抑制されている』と評価された」と語り、真木と大西に最大級の賛辞。近々、次回作に取りかかるといい「内容はまだ言えないが、今後も作品性と興行を両立していきたい」と決意表明していた。本作の企画段階から尽力した大西は「たくさんの人の思いを背負いながら、演じた作品。世界4大映画祭のひとつであるモスクワで賞を受賞でき、『義理を果たせた』と今はとてもホッとしている」と喜びを噛みしめていた。

『さよなら渓谷』
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