綾野剛

俳優の綾野剛が主演を務める『シャニダールの花』が、モントリオール世界映画祭(8月22日(木)~9月2日(月)開催)のフォーカス・オン・ワールド・シネマ部門に正式出品されることが4日、都内で行われた同作の先行上映会で発表された。綾野は「新たな世界で新たな眼差しで、観ていただけると思うと感謝しかありません」とコメントを寄せ、メガホンを執る石井岳龍監督は「映画は世界の共通言語。海外の皆さんに観ていただける機会はうれしいし、どのような反応か興味もある」と喜びを語った。

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映画はごく限られた女性の胸に咲く“シャニダールの花”をめぐる、幻想的なラブストーリー。シャニダールの花を利用した新薬開発を進める研究所に勤める植物学者の大瀧(綾野)が、セラピストの響子と恋に落ちながら、危険な花の魅力にとりつかれていく。先行上映会には綾野と石井監督に加えて、共演する響子役の黒木華、伊藤歩、山下リオが出席し、舞台あいさつに立った。

女優陣に囲まれた綾野は「皆さん、女優というより“役者”という感覚で、きれいに映ろうとかしない姿が心に響いた。(映画に出てくる)花は女性の強さを映し出しているのだと思う」。一方、女優陣は「綾野さんの選ぶ言葉が好き」(黒木)、「いろんな仮面を持っている人」(山下)、「理屈ではなく、自分の感覚を信じて演技する人」(伊藤)と綾野との共演を振り返っていた。

本作の完成までに7年の歳月を費やしたという石井監督は「日本でオリジナルの劇映画を作るのは、非常に難しい。途中、何度も中断したり挫折したりしたが、そのたびに作品が鍛えられ、より深いものになった。最終的には満足しています」と誇らしげ。「人間は愛がないと生きていけない動物。そんなテーマを、ここにいるキャストと優れたスタッフが、とてもリアルに映画にしてくれた。観るたびに新しい発見があり、異次元の旅に誘ってくれるはず」と話していた。

モントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールド・シネマ部門は、カナダ以外の国(ヨーロッパ、アジア、オセアニア、南アメリカなど)が製作した作品を上映する部門。

『シャニダールの花』
7月20日(土)テアトル新宿ほかロードショー

取材・文・写真:内田 涼

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