ネットワーク環境やセキュリティの整ったマンションはデジタルライフと相性がいい

最近、新築マンションに引っ越した筆者。持ち家か賃貸か、マンションか戸建てか、新築か中古か――家を買うときは、価値観や好み、家族構成などによって意見が分かれるところだが、筆者の持論は経済的に無理のない範囲で選べばいいというもの。ただ、デジタル好き・新しいもの好きなら、最新設備を備えた新築や築浅のマンションをおすすめしたい。「デジタル好き」の目線から、新築マンションのメリットを紹介しくことにしよう。

<不定期連載・マイホーム×デジタル>

第1回・標準仕様の廉価物件でも住み心地は十分!

今回は、実際に購入したマンションで、検討の段階で気に入ったポイントと、実際に住んでよかったポイントをそれぞれ三つずつピックアップした。

不動産経済研究所によると、2012年の新築マンションの平均価格は3824万円で、首都圏に限ると4540万円。購入した物件は、首都圏でも東京都心から離れた郊外エリアだったので全国平均より安く、パソコンにたとえると「セレロンクラス」の位置づけだ。この価格帯の物件は、初めて住宅を購入する一次取得者向けといわれる。最上級ではなく、ごく標準的な仕様だと思って読み進めていただきたい。

●ココが気に入った! ~モデルルーム&仕様一覧を見て~

(1)対面キッチン&12畳以上のリビング・ダイニング

バルコニーに面した縦長タイプのリビング・ダイニング(LD)の広さは約12畳。対面式のキッチン(K)と、引き戸を開けるとリビングとつながる洋室を含めると、約20畳になる。これくらい広ければ、40V型以上の大画面テレビを設置しても圧迫感がなく、迫力ある映像を楽しめるだろう。今は、家電エコポイント制度を利用して購入した32V型のフルHD液晶テレビとブルーレイディスク(BD)レコーダーを設置している。

最近の新築マンションの場合、LDの広さはおおむね10~14畳程度。最低限、12畳はほしいと思って、間取りを選ぶ際の必須条件にした。できればLDだけで16~20畳程度がよかったのだが、ここは予算の都合上、妥協した。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、最も売れている薄型テレビのサイズは32V型。薄型テレビ(液晶+プラズマ)のサイズ帯別販売台数構成比を集計すると、2013年6月は、32V型を中心とする30V型台が38.7%、40V型台が20.9%、20V型未満が15.7%、20V型台が15.4%で、50V型台も過去最大の9.3%に達した。3年前はわずか2~3%に過ぎなかった50V型以上の構成比は、2012年2月に初めて5%を超え、2013年1月から4月までは7%台で推移していた。税別平均単価は、50V型で10万円台半ば、60V型でも20万円弱。以前よりずいぶん安くなり、引っ越しや建て替えを機に、広いリビングに見合った大画面のテレビに買い替えるケースが増えていると思われる。

(2)マルチメディアコンセント全居室装備

「マルチメディアコンセント」とは、通常のコンセント・電話用のモジュラージャック・テレビ用のアンテナ線・インターネット接続用のLANポートを一つにまとめたもの。光ファイバー、ADSL、CATVインターネットのいずれかの固定ブロードバンドサービスを契約すれば、LANポートにケーブルをつなぐだけでインターネットが利用できてとても便利だ。マルチメディアコンセントの位置に合わせて家具やテレビなどを配置すれば、ケーブル類の露出も最低限で済み、見た目もすっきりする。

マルチメディアコンセントの設置数・場所は、物件によって異なるらしい。デジタル好きは、購入(契約)前に、マルチメディアコンセント(LANポート)の設置数・設置場所を必ず確認しよう。

(3)BSデジタル・110度CSデジタル対応

BSデジタル・110度CSデジタル放送を視聴する場合、賃貸住宅や中古住宅では、もともと対応している場合を除いて、自分でアンテナを購入・設置する必要がある。部屋の向きや規約によっては室外にアンテナを設置できず、CATVなどの有料サービスなどを契約しなければならないこともあるので注意したい。

新築のマンションなら、たいていの場合、地上デジタル放送(地デジ)に加え、BSデジタル・110°CSデジタル放送の共聴設備を備えているので、前述のマルチメディアコンセントにアンテナケーブルを差し込むだけで簡単に視聴できる。持ち込んだテレビやレコーダーはこれらの視聴に対応していたので、一気に視聴できるチャンネル数が増えた。有料サービスを契約すれば、さらに多くのチャンネル・番組を視聴できる。ドラマ・アニメ・スポーツなど、特定のジャンルの番組を見たいなら、無料チャンネルの多いBSデジタル放送対応は絶対に譲れない条件だ。

●実際に住んでわかったよさ お気に入りNo.1は「24時間宅配ロッカー」

(1)24時間宅配ロッカー

私はインターネット通販を愛用しているが、平日の日中は夫婦が不在なのでほとんど受け取ることができず、不便を感じていた。24時間宅配ロッカーとは、宅配業者が配達できなかった荷物を預ける大型ロッカーのこと。マンション全体のオートロックシステムと連動し、集合玄関機でオートロックを解除する際、荷物が届いていることを知らせるようになっている。

これは想像以上に便利だった。集合住宅ならではのメリットだろう。宅配ロッカーの保管スペースは、荷物の大きさに合わせていくつかのバリエーションがあり、ミネラルウォーター(2L×12本)や組み立て式パソコンデスクなど、かなり大きいものも保管できる。クール便や書留などの重要書類は対象外だが、フル稼働している。

(2)フルオートバス+ガス式床暖房

給湯設備は都市ガスで、追焚き・フルオート対応の給湯システムとガス式床暖房(TES温水式床暖房)が標準で設置されている。ボタン一つでお風呂にお湯を張ることができるフルオートバスは賃貸住宅でも珍しくないが、今まで使ったことがなかったので、私にとっては極上のぜいたくだった。

床暖房は、標準・オプション(有料)・設置不可と、物件によって対応が分かれる。オール電化の場合は、ガス式ではなく電気式になる。設置範囲は、通常LD部分だけ。試しに使ったら、エアコンと違って動作音が発生せず、床から部屋全体が暖かくなる。冬場はメインの暖房器具として活用した。割引プラン適用時のガス料金はそれほど高くなく、エアコンの暖房より割安だろう。東京ガスによると、床暖房用の温水パイプの耐用年数は約30年。永久に使えるものではないが、あるとうれしい設備の筆頭に挙げたい。

(3)無線LAN親機を設置できる大型シューズボックス

玄関脇の大型シューズボックスの中にブレーカーがあり、その横にブロードバンド回線の宅内装置を置いている。その宅内装置の横に無線LANルーター(親機)を設置し、スマートフォンやiPad、インクジェットプリンタなどで無線LAN(Wi-Fi)を利用している。無線LAN親機は、IEEE 802.11nに対応したハイパワータイプ。シューズボックスの扉を閉めた状態でも、部屋の隅々でWi-Fiを利用できる。収納スペースが余ったので、無線LAN親機のほかにも傘や工具、ぬいぐるみ、掃除用品など、さまざまなものを収納し、シューズボックスというより収納スペースとして活用している。

●オンラインショッピングやインターネットがもっと便利に!

地上デジタル放送やBSデジタル放送、光ファイバーなどに対応し、簡単に高速インターネット・ホームネットワークが利用できるマルチメディアコンセントを備えた新築マンションは、デジタルライフと相性がいい。例に挙げた広いリビングや、快適なフルオートバス・床暖房、収納力のたっぷりのシューズボックス以外にも、暮らしやすさや安全にこだわった工夫を多数盛り込んでいる。

新築マンション固有の設備ではないが、一番気に入ったポイントとして「24時間宅配ロッカー」を挙げたい。宅配ロッカーのおかげで、いつでもどこでも買い物できるオンラインショッピングがますます便利になり、買い物の優先順位が変わった。休日に遠くの店舗にわざわざ出かけなくとも、通勤電車内や昼休みに「ポチッ」としておけば、購入した品物が自宅に届き、宅配ロッカー経由でいつでも好きなときに受け取ることができる。新築に限らず、宅配ロッカーを備えた集合住宅・戸建てが増えると、オンラインショッピングの愛用者が増えそうだ。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。