龍真咲  撮影:奥村達也 龍真咲  撮影:奥村達也

フランスの人気小説『アルセーヌ・ルパン』の作家、モーリス・ルブラン没後70年に発見され、話題となったシリーズ最新作『ルパン、最後の恋』が宝塚歌劇でミュージカル化。グランド・レビュー『Fantastic Energy!』との2本立てで、月組により上演される。『ロミオとジュリエット』、『ベルサイユのばら』という2本の大作を経験し、トップ就任後、初のオリジナル作品に挑む龍真咲(りゅう・まさき)に、意気込みを聞いた。

宝塚歌劇月組『ルパン』チケット情報

「『ロミオとジュリエット』と『ベルサイユのばら』はベースがあるものだったので、自分が作りたい人物像は想像しやすかったのですが、今回は生みの苦しみを味わっています。その分、新たな作品をお客様にどう受け取って頂けるかという楽しみもこれまで以上に感じますので、悩みながらいい作品に仕上げたいです」

ルパンを演じるにあたっては、「紳士的であること」を意識。原作を読んだり、映画を観ながら、龍ならではのルパンを作り上げる。「演出家の正塚(晴彦)先生は、いつもリアルな男性像を求められるので、先生が描きたいルパン像をしっかりと掴むところからスタートしています。原作を読んで感じた“紳士的だけど、法の外にいる人間”であることを意識しつつ演じたいです。そして、そこにどのように恋愛が絡んでくるのか。ラストにはとてもいいセリフがあるので、お客様にキュンとして頂けるように作りたいと思います」

男らしく、ハードボイルドな正塚作品に龍は何度か出演しているが、今回は、新たな挑戦も込められているという。「音楽が多く、“ザ・ミュージカル”という雰囲気の作品になりそうです。セリフを喋っている間に歌になっていったり、歌からセリフになっていくパターンもあって難しいですが、新鮮な感覚を味わっています。心情が音色に出るように綴られているので、ルパンをきっちり作り込んで表現したいです」

続く『Fantastic Energy!』も、龍にとっては久しぶりの新作ショー。タイトル通りのエネルギッシュな展開で、息つく暇もない。「ロック、ラテン、ジャズがミックスされていて、曲が多い上にスローな曲がほとんどないんです。プロローグから、目も耳も忙しいショーになると思います(笑)個人的には黒燕尾が入っていることが嬉しいですね。毎公演やりたいくらい大好きなんです!」

トップ就任から約1年が経ち、気持ちにも少し変化が生まれている。「しっかりと舞台に立てている感覚はありますし、役を忠実に演じるという意味では、落ち着いて取り組めるようになりました。今の月組メンバーはそれぞれがとても個性的で技術力もあるので、それを活かせる公演にしたいです」

公演は7月12日(金)から8月12日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、8月30日(金)から10月6日(日)まで東京宝塚劇場にて。チケットは兵庫公演が発売中、東京公演は7月28日(日)午前10時より一般発売開始。

取材・文:黒石悦子