2020年訪日外国人旅行者4000万人という目標に向け、現在、国を挙げてさまざまな観光振興策が進められている。主な観光スポット・繁華街での無料Wi-Fiサービスの整備やSIMフリースマートフォン(SIMフリースマホ)の普及促進もその一つといえるだろう。 スマホ自体の普及率はすでに高く、頭打ち感も強いなか、1月22日、カメラ機能で定評のある中国の新興メーカーOPPOの日本法人OPPO Japanは、カメラフォン「R11s」を引っさげ、日本市場に参入すると正式発表した。18年注目のスマホメーカーの一つだ。

●Androidでは4割がSIMフリー

SIMフリースマホや事前にSIMロックを解除したスマホなら、海外旅行の際、国際ローミングを利用せず、現地のSIMカードを挿入して通信できる。また、日本国内で販売されているSIMフリースマホは、外国人観光客がショップで買って自国で使うことができ、実用性抜群の「日本土産」になる。

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、17年1月~12月の1年間に販売されたスマートフォンのうち、SIMフリーモデルの割合は約2割、21.6%だった。iPhoneのSIMフリー版はリアル店舗やオンラインのApple Storeでしか買えず、集計に反映されないため、iOSはほぼすべて非SIMフリーだが、Androidスマホはいまや4割近く、41.3%がSIMフリー。Androidに限った「4割」という数字こそ、SIMフリースマホの真の浸透率といえるだろう。すでにかなり高い水準だ。

17年のスマートフォン全体のメーカー別販売台数1位はApple。シェアは前年よりやや下がって48.4%。2位はシャープ(10.4%)、3位はソニーモバイルコミュニケーションズ(9.8%)で、4位には、SIMフリースマホではトップのファーウェイが入った。参入メーカー数は多いが、京セラやシャープ、サムスンなどを含む上位8社で9割以上を占め、下位メーカーは微々たるシェアしかない。

SIMフリースマホは、ここ1年ほどはファーウェイとASUSの2強状態。17年年間ではファーウェイがシェア37.3%を占め、ASUSを抑えて初めて1位を制した。ASUSは、16年発売の廉価モデル「ZenFone Go(ZB551KL)」が人気を集め、年間販売台数は前年よりも大きく伸びたものの、前年の28.0%から24.0%へとシェアはダウン。売れ筋価格帯のミドル~ハイエンドモデルで、ZenFoneシリーズ全体や各機種の特徴を打ち出せなかった印象だ。

OPPOと並んで、今年、「台風の目」となりそうなメーカーはZTE。ドコモと共同開発した折りたたみ式の2画面ディスプレイを搭載した「M Z-01K」は、一部のスマホ好きから「待望の変態スマホ復活」と賞賛されている。キャリアのオリジナルモデルでも尖った製品を出せると証明した。むしろ価格競争が激しいSIMフリーでは採算が合わず、製品化できなかったのではないだろうか。

SIMフリーで高いシェアを誇るファーウェイがau/UQ mobile向けに海外で発売済みの「HUAWEI nova 2」を供給し、逆に3キャリアに端末を供給していたシャープが同じ製品名でSIMフリー版を投入するなど、境界線が溶け合い始めてきた。SIMフリー/非SIMフリーで分けず、メーカー・ブランドごとに比較するべき段階に入ってきたためだろう。スマホ関連では、今年はFeliCaやQRコード・バーコードなどを利用したさまざまなモバイル決済のプラットフォーム競争の行方にも注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。