村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえによる「おにぎり」の新作が開幕!

2013.7.11 22:16配信
おにぎり『トークトワミー!』 おにぎり『トークトワミー!』

村木仁、市川しんぺー、池谷のぶえの3人が組んだ演劇ユニット「おにぎり」の第2回公演『トークトワミー!』が、7月10日、東京・ザ・スズナリで開幕。今回は作を江本純子が、演出を千葉哲也が手がけている。

おにぎり『トークトワミー!』チケット情報

冷めきった夫婦生活を送るシゲさんと俊子。そんなふたりの前に、ちょくちょく顔を出す男がいる。あんちゃんと呼ばれる俊子の兄だ。毎度金をせびりに来るあんちゃんに、シゲさんは露骨に嫌な態度を示すが、俊子は夫の目の届かないところでいつも兄に金を渡してやっている。だがそんなある日、俊子が入院することになり…。

名立たる演出家から厚い信頼を寄せられ、芝居のうまさはもちろん、確実に笑いが取れる俳優という印象の強い3人。だが笑いを求める観客の期待は、第1回公演の『斷食』に引き続き、今回もいい意味で裏切られることとなる。

自らの両親が入院した際の実体験をもとに、本作を書き上げたという江本の脚本は、決してコメディではない。笑いの要素はあるにせよ、それは生活の延長線上にあるおかしみである。そして舞台上で息をするのは、間もなく50歳に手が届くかという中年の男女3人。はたから見ればどうしようもないダメ人間に映るが、そこに中年ならではの哀愁と、やるせなさと、愛着を感じさせるのは、前出の通り、キャスト3人が抜群に高い演技力の持ち主だからである。

そして千葉の演出は、そんな中年が抱える老後への不安、さらに言えば“死”というものを、繊細にあぶり出す。しかし本作がお涙ちょうだいの悲劇かと言えば、決してそんなことはない。観劇中は先の読めない3人のやり取りにただただ吸い寄せられ、劇場をあとにした時、フッと切ない感情が胸をよぎる。そしてその感覚は、この3人と同年代の人間であれば、より共感出来る部分は大きいだろう。さらに本作は中年夫婦のラブストーリーでもあり、ラスト、その不器用過ぎる愛のかたちに笑みがこぼれる。

あんちゃん演じる村木は、劇団☆新感線への出演が多く、派手な世界観を飛び回ることが多い。しかし本作では、小さい世界に生きる小さな男を、独特のユーモアセンスをもって魅力的な人物へと昇華させる。シゲさん役の市川は、無神経をまとう男のピュアな優しさを、大胆さと細やかさを使い分け演じ切る。俊子役の池谷は、女性ならではの強さを、時に大らかに、時に爆発的に表現する。少人数芝居ゆえ、改めてこの3人の俳優の幅の広さ、芝居のうまさを見せつけられた気がした。

公演は、東京・下北沢ザ・スズナリにて7月17日(水)まで。チケットは発売中。

取材・文:野上瑠美子

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