吉田:年末に武道館で行なわれたMUCC主催イベント『えん7』で、lynch.は1曲目に『D.A.R.K.』っていう歌い上げ系のミディアム曲を持ってきていたんですよ。むしろ、それによって会場の空気を支配していましたね。

そういえば、『ROCK AND READ』のインタビューでMUCCの逹瑯さんが「バンドマンってみんな人と違うことやりたくてバンドを始めてるはずなのに、最近はヴィジュアル系という小さい村の中で固まっちゃってるから、みんなMCや煽り方も似通っているのが滑稽だ」という話をしていたんですよね。

高崎:ノリが悪いときの怒り方すら同じときってありません?

藤谷:もう一周回って「僕はR指定が好きだからメンヘラの歌をやってます」っていうバンドのほうが面白く見えてしまう(笑)。もう二次創作ですよね。もちろん誰だって影響を受けるのは当たり前で、二次創作から優秀なクリエイターが出てくることもあります。

しかしながら現状そこから次のシーンを作るようなバンドが中々見えてこない。我々の「探し方」が悪いのかもしれませんが……、今日はそういった話もしたいんですよね。

高崎:ヴィジュアル系の中でも例えば「キラキラ系」みたいな、新たな概念は出てきてないですよね。

山口:「人と違うことがやりたい」と言うけれど、主語が「V系シーンの中で」になっている。今ってバンドをするってなったときに、音楽をする、バンドをするが根底じゃなくて、ヴィジュアル系をするが根底になっているじゃないですか。それが根っこになってしまっているから、縮小再生産になってしまっているのかなと。

吉田:苦言を呈すと、今のヴィジュアル系って、メディアの人間もバンドも、他を見なさすぎるんですよ。だからみんな同じになっちゃう。

藤谷:さっき高崎さんが仰ってましたけど、他のエンタメがライバルであるということを考える必要がありますよね。たとえば「バンギャルネタ」がテーマの曲をやる若手バンドは随分増えましたけど、最初は新鮮でもそれを面白がる層のパイは想像ついてきちゃいますよね。「なんとなく今シーンでコレ受けてる気がするから」じゃなくて「絶対にコレを表現したい」というのであれば止めませんけどね……。

V系メディアはどうあるべきか?

藤谷2012年の『ウレぴあ総研』のNoGoD・団長インタビューでもそういう話は出てましたね。でも私はそれは当たり前のことだと思っていて。

今「ヴィジュアル系的なもの」って世の中に点在しているじゃないですか。さっき高崎さんが仰ってたような各種エンタメにもV系的な要素があるものがたくさんある。で、「本当にヴィジュアル系バンドで音楽をやりたい」って人たちじゃないとシーンに来ないと思うんです。それが悪い意味での生真面目さにつながっているのかもしれません。

そもそも単純にプレイヤーとリスナーの人数が多かった97年くらい、流行語にノミネートされていた時期ですね、その頃に中学生だった人をピークに、「ヴィジュアル系」のユーザーは全体的にゆるやかに減っていると思うんです。分母が減るとシュリンクしていく部分は少なからずあるかと。それをどうするかを考えたいんです。

吉田:『ROCK AND READ』の母体でもある、僕がやってたプレイ誌『バンドやろうぜ』がもう売れに売れて、編集ページ100ページしかないんだけど、メンバー募集のページと広告が大量に入ってて電話帳みたいになっていた時代ですね(笑)。

藤谷:エビちゃんブームのときの『CanCam』みたいですね(笑)。私自身が都内のライブハウスに定点観測的に見に行っている中で、「面白いな」「変わったことをやっているな」というバンドはいるにはいるんですよ。でも1年くらいでいなくなってしまったり。バンド側に根性がないとか、ファンが良くないとかではなく、「変わったこと」を受け入れるほどシーンに余裕がないというか。

さっきも言ったように分母が減ってる分、新しい芽を育てきれないというか、そういう空気に対して「自分はなにかできることはないのか?」と歯がゆさを感じています。

吉田:2018年はDEZERTが自分たちの世代の帯を作るといって、3月からNOCTURNAL BLOODLUSTやアルルカンを呼んだ『This Is The "FACT"』のイベントツアーをやるんですよね。それにBugLug、vistlip、己龍、R指定の『均整を乱す抗うは四拍子』もまたやるじゃないですか。

藤谷:2017年には、10周年のバンドが集結した『10th Anniversary Special Tour ~from 2007~』イベントもありましたね。バンドからはシーンの底上げを図ろうという意志を感じます。その中でメディアはどうすべきかということを考えたいんです。

高崎:私これ、ライターとしてというより、いち読者として言いたいんですけど、最近のヴィジュアル系のアーティスト写真って、加工しすぎて風俗のパネマジとか、絵みたいになってません? 生身の人間がメイクしているからこそ美しいのに、絵みたいになっちゃったらむしろ2次元に負けるに決まってるじゃないですか。

藤谷:『ウレぴあ総研』で写真を撮り下ろすときも、なるべく「アー写っぽくならないようにしよう」と当初からやってますね。スタジオ借りる予算がないというのもありますが(苦笑)。

吉田:僕は『ROCK AND READ』では“ヴィジュアル系を超えたヴィジュアル系の魅力”を見せたいと思っていますね。

藤谷:『ROCK AND READ』は読み物もそうですよね。他では読めないボリュームのロングインタビューと撮り下ろしの写真は魅力です。

吉田:メディアの話で思い出したんだけど、最近とあるバンドに出演を断られたことがあって、理由を聞いたら「面倒くさい」って言われたんですよ。