ミラーレスが好調だったキヤノン

4年ぶりの増収増益で好調だったキヤノンの2017年12月期決算は、主力のデジタルカメラ事業がけん引した。なかでも、弱点とされていたミラーレスの貢献が大きかったことが、全国の主要家電量販店・ネットショップの実売データを集計した「BCNランキング」の調べでも明らかになった。

連結決算は、売上高が約4兆800億円(前年比119.9%)、営業利益が約3314億円(144.8%)、当期純利益が約2419億円(160.6%)といずれも好調だった。レンズ交換式カメラの販売台数は前期を下回ったものの、ミラーレスカメラではハイアマチュア向けの「EOS M6」やエントリーユーザー向けの「EOS M100」が好調だった。ユーキャンの2017年の流行語大賞にもなった「インスタ映え」の盛り上がりが需要を後押しした。

「BCNランキング」の過去13か月のデジカメ全体の販売台数シェアで、キヤノンは17年8月にニコンに首位を奪われる場面があったものの、年間を通じてシェアトップを維持した。そんなデジタルカメラ市場でトップシェアメーカーのキャノンが唯一、弱点にしていたのがミラーレスだった。

「BCNランキング」のミラーレスの過去13か月の販売台数シェアをみると、17年2月はトップのオリンパスが30.7%だったのに対し、キヤノンは17.7%で最大13ポイントの差が開いていた。しかし3月以降は20%を超えるようになり、5月はオリンパスとの差を3.5ポイントまで詰めた。5月以降は再びオリンパスとの差が開くものの、10月と11月はキヤノンが首位に立つ場面もあり、12月は0.5ポイントまで詰め寄った。

キヤノンは2018年も「ミラーレスのラインアップの拡充を図り、SNSユーザーの需要をとらえた新製品を中心に拡販して2ケタ成長を目指す」としている。(BCN・細田 立圭志)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。