『ニューヨーク、恋人たちの2日間』に見るユーモアの魅力

2013.7.17 11:51配信
『ニューヨーク、恋人たちの2日間』

『セレステ∞ジェシー』を観たときにも思ったことだが、女性が口にする下ネタにはその人のセンスと知性が如実に表れる気がする。どこまでがOKで、どこからがNGなのか? 『ニューヨーク、恋人たちの2日間』は、冒頭から“子持ちで失禁症の自分”を嘆き、収縮の練習をしていることを告白するヒロインに笑いのツボを押された観客にとって、至福の時間が続く映画だ。

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前作『パリ、恋人たちの2日間』と同様に監督、脚本、主演をつとめたジュリー・デルピーは、自分を笑い飛ばせる本物のユーモアを身につけている人なのだろう。アメリカとフランスのカルチャーギャップをネタにしたちぐはぐな言葉のやりとりはますます冴え渡り(ノーパンでリビングをうろつき、ノーブラでヨガに行く妹と風呂嫌いの父親!)、ニューヨークのアートシーンを皮肉る視点にも気取りがない(ヴィンセント・ギャロの役柄のおもしろさ!)。噛み合わない怒涛の会話はコーヒーからソーセージ、結婚からピーター・フォンダへ予想もつかない場所に着地して、いつの間にか笑いが生まれている。トラブルの連なりの先に描かれるのは、仕事と家族と子供と愛情に揺れ動き、振り回されるヒロイン、マリオンの姿だ。恋が成就して「みんな、幸せに暮らしましたとさ」というおとぎ話の“その先”を生きる彼女は、夜のニューヨークの街角で精神的な迷子になってしまうこともある。

クリス・ロックがマリオンの恋人を演じているのだが、部屋に置いたオバマに“妄想インタビュー”するのが日課という設定が最高に可笑しい。そして彼が最後、マリオンにかけてあげる言葉が最高にやさしい。「君は悪くない。ホルモンのせいなんだ!」。ロマンチックでも何でもないけれど、ものすごく理解のある励ましではないか!

『ニューヨーク、恋人たちの2日間』
7月27日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国順次ロードショー

『ぴあ Movie Special 2013 Summer』(発売中)より
文:細谷美香


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