黒木メイサ 黒木メイサ

黒木メイサが3年ぶりに主演を務める舞台『「源平盛衰記」異聞 巴御前~女武者伝説~』が、8月、東京・明治座で開幕。平安末期、木曽義仲に仕えた女武将・巴御前の生きざまを主軸に、時代を越えた愛と闘いの人間模様が展開される。そこでビジュアル撮影現場を訪れ、黒木に現在の心境を訊いた。

『「源平盛衰記」異聞 巴御前~女武者伝説~』チケット情報

撮影に当たり黒木は、甲冑とドレスを組み合わせたような衣装で登場。カメラマンの説明を笑顔で聞きつつ、カメラを向けられた瞬間、その目には女武将としての強い光が宿る。続いて薙刀を持っての撮影。細かな動きをデザイナーと確認しつつ、ダイナミックに薙刀を操る。時にスタジオ中に、「ヤーッ!」と気合いの入った叫び声を響かせることも。そんな彼女に、カメラマンは「ナイス! カッコいい!」を連呼し、次々とシャッターを切っていく。さらに動から静へ、哀愁を感じさせるカットで撮影は終了。すると黒木の奮闘ぶりに、その場にいたスタッフからは自然と拍手が沸き起こった。

その後、長時間の撮影だったにも関わらず、笑顔で取材に応えてくれた黒木。その姿にはやはり、「舞台が好き!」という強い思いが伝わってくる。「いろんなことを取っ払って、『とりあえず好き!』っていうのが舞台なんです。子供レベルなんですが、『好きに理由はいらないでしょう?』みたいな(笑)。映像の場合、全体の足並みを崩さないようにするだけで精一杯なんですが、舞台だと1か月間みっちり先輩方と稽古をし、一緒に作品を作り上げることができる。特に今回の岡村(俊一)さんやつか(こうへい)さんの舞台は、もういい顔をしている暇がないくらい(笑)、みんなが感情をむき出しにしていて。そういう空間が、私はすごく好きなんだと思います」

今回上演する明治座は、『あずみ』(2005年)で初座長を務めたこともある思い出深い劇場。「『あずみ』の時は、ただただ全力でやるって見せ方しかできなかったんです。でも今回は全力であることはもちろん、引くところは引くというか、何か違う見せ方ができたらなと…。やっぱり成長した姿をお見せしたいですからね」

『あずみ』で少女を演じた黒木も、今や25歳の立派な女性。そんな黒木が見せる、女武将・巴御前とは? 「人って弱い部分を受け入れることで、本当の強さを手に入れていくと思うんです。だから今回の巴御前でも、分かりやすい強さだけではなく、内面から沸き出るような強さ、愛、器の大きさみたいなものを表現できたらなと思います」

公演は8月4日(日)から8月25日(日)まで。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子