出版社ごとに、作風の違いも

アメコミといえば、気になるのはやはり2大巨頭である「DCコミックス」と「マーベルコミック」の関係性だ。

歴史としてはDCコミックスが1934年に設立され、その後1939年にアメコミ出版社「タイムリー・コミックス」が発足し、やがて「マーベルコミック」となった経緯がある。

各出版社ごとに作風の違いもある。ブリスターのスタッフ氏いわく、食事に例えるなら「DCはご飯で、マーベルはパンのような存在」。

撮影:橋本千尋(P.M.A.トライアングル)

「『バットマン』をはじめとするDCは、重厚な人間ドラマを中心として噛めば噛むほど味わいが増すような作品が多く、『スパイダーマン』などを擁するマーベルコミックは、バリエーション豊富で華もありながら口にした瞬間から風味を感じられるような作品が多い印象です」(スタッフ氏)

どちらも魅力的なヒーローやヴィランズが多く、実写やアニメなど、さまざまな形で映像化されている作品も多い。そして、映像では語り切れていないキャラクターの設定や背景を掘り下げられるのも、アメコミの魅力だ。

撮影:橋本千尋(P.M.A.トライアングル)

ここでアメコミ初心者にもオススメの、いま注目のキャラクターやタイトルを伺った。

初心者にもオススメ! 注目作品&キャラクター

■グウェンプール(マーベル)

中央が『グウェンプール:こっちの世界にオジャマしま~す』。左『Ms.マーベル:もうフツ―じゃないの』、右『絶対無敵スクイレルガール:けものがフレンド』もお店の注目作だ 撮影:橋本千尋(P.M.A.トライアングル)

アメコミ界で人気の日本人によるイラストレーターユニット・グリヒルが作画を手がけるタイトル。

「コミックの世界を愛する“オタクの少女”グウェンプールが活躍する物語で、絵がポップかつていねい。かわいらしいキャラクターが多いので日本人にもなじみやすい作品です」(スタッフ氏)

コミック:『グウェンプール:こっちの世界にオジャマしま~す』(ヴィレッジブックス)など

■フラッシュ(DC)

中央は『フラッシュ:ライトニング•ストライクス•トゥワイス』。左は『バットマン:エターナル』、右は『ゴッサム・アカデミー:イヤーブック』 撮影:橋本千尋(P.M.A.トライアングル)

昨年公開の映画『ジャスティス・リーグ』に登場したほか、海外ドラマ『THE FLASH/フラッシュ』も人気を博すヒーロー。世界最速のヒーローと称されるほどの超常能力によりときには時間すらも超えるキャラクターだ。

「さっそうと駆け抜ける彼の勇姿は一見の価値アリですね」(スタッフ氏)

コミック:『フラッシュポイント』(ヴィレッジブックス)など

■ストリートファイター

ご存知、日本発の国民的格闘ゲームのアメコミ版。アーティスト集団・UDON Entertainmentが手がけた作品で、リュウやケン、ザンギエフなどおなじみのキャラクターがコミックに登場。ブリスター・コミックスでは特設コーナーも設けられている。

「いわば逆輸入の人気作品ですが、売れ筋で目を止めるお客さんも多いです」(スタッフ氏)

コミック:『ストリートファイター ザ・コミックvol.1』(カプコン)など

アメコミとひと口にいっても、知ろうとすればするほどその世界は奥深い。次回の中級編では、引き続き『ブリスターコミックス』でのお話を元に、アメコミの魅力を掘り下げていく。

取材協力:ブリスターコミックス
住所/〒101-0021 東京都千代田区外神田4-3-10 ミナミビル3F
営業時間/11:00~20:00(年中無休)
電話番号/03-6206-4404
アクセス/JR 秋葉原駅 電気街口(徒歩約4分)/東京メトロ日比谷線:秋葉原駅(徒歩約6分)/東京メトロ銀座線:末広町駅(徒歩約4分)

埼玉在住。編集者・ライター・デザイナーなど。制作会社から独立後、フリーランスとして出版物や印刷、Webなどに関わる。守備範囲は、アイドルやアングラ、ガジェットなど。日常すべてが取材をモットーに、寝るとき以外はネタを探すべくつねに目を光らせている。時折、夜の街もフラつく。交通費やチケット代、物販など含めれば、月に数万円使うほどアイドルが好き。30代にして、アイドルを通して“青春”を追いかけている。