『ペーパーボーイ 真夏の引力』のリー・ダニエルズ監督(右)とニコール・キッドマン(c)Kazuko Wakayama

2010年に日本公開された『プレシャス』で世界的に注目されたリー・ダニエルズ監督。彼が手掛けた最新作『ペーパーボーイ 真夏の引力』が27日(土)より公開されるのに先駆け、自作のキャストについて語ったコメントが公開された。

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ダニエルズの前作『プレシャス』は、母親からの虐待など過酷な生活を送る16歳の黒人少女が、ある出会いを通じて人生の希望を見出していく物語で日本でもスマッシュヒット。第82回アカデミー賞では、ダニエルズ自身が監督賞候補となったほか、ガボレイ・シディベが主演女優賞候補に、母親役のモニークが助演女優賞を受賞した。また、ダニエルズがプロデュースした2001年の『チョコレート』でも、ハル・ベリーが黒人女性として初となるアカデミー主演女優賞受賞を果たしている。

そんな、俳優起用に関しては十分すぎる実績を誇るダニエルズが、自身の監督第3作目となる『ペーパーボーイ…』でキャスティングしたのは、ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、ジョン・キューザック、マシュー・マコノヒーといった人気・実力を兼備した顔ぶれだ。ダニエルズはこの配役について、「普通の映画と違って、私は大胆な配役をしたいんだ。イメージとは異なる、人々の予想を裏切るような配役をね」と語る。

確かに、前述の俳優たちの本作での役柄は既存のイメージを裏切るものだ。たとえばアイドル的な存在として知られるザック・エフロンは、ある殺人事件の冤罪取材に関わったことから人生を大きく左右する衝撃のひと夏を過ごす主人公を演じ、これまで見せたことのない悲壮な表情を披露する。またその主人公が恋をする年上の金髪女性を演じたニコール・キッドマンも、観客を驚かせるに違いない大胆な痴態を見せつける。「ザックのことは最初は頭になかったんだけど、実際に会ったらとても気に入ってね。過去作でもわかるとおり才能に溢れているのに、誰もこんな役を彼には与えてこなかった。試してみればピッタリかもしれないのにね。二コールは本当に魅惑的で、彼女との仕事は魂が抜けてしまうような貴重な体験だったよ」

中でも、ダニエルズが特に絶賛するのが、獄中の死刑囚を演じたジョン・キューザックだ。「ジョンが演じるヒラリーは悪人で、問題を抱えた人物だ。さらに暴力的で性的な匂いもさせる。ジョンが演じたことがないような役、だからこそ彼を起用したかったんだ。新しい要素が生まれるからね。彼は私が“アクション!”という前から役になりきっていて、ジョン本人なのかヒラリーなのか分からなかった。鎖を振り回したりしてスタッフが怖がるほどだったんだけど、私は面白くてずっとその様子を見ていたよ」

“選球眼”バツグンのダニエルズが太鼓判を押す、俳優たちの好演と怪演。スクリーンで大いに堪能してほしい。

『ペーパーボーイ 真夏の引力』
7月27日(土)より全国ロードショー