新幹線で感じた“ママ”の生き辛さ&弁護士妻が樋口さんに語った「女に生まれた意味」

樋口:僕自身は幸い、長距離移動中にイヤな顔をされたりしたことはないんです。

でも、だからといって、「赤ん坊を連れているママが差別されているということはないよ、だって僕は実際にそんな目に遭ったことないから」とは、とてもじゃないけど思わないですよね。

僕が辛い目に遭わずに済んだのはやっぱり、僕が“男”だからだと思う。

今日も、こんな無精ひげで取材に来ましたけど、ちょっと話は逸れますが、こういうインタビューを受けている奴が“きっちりしたパパ”である必要はないなと思って、敢えてこんな姿でお邪魔しました(笑)

僕が背も一応170㎝ちょいあって、プロレス好きでガタイもある、無精ひげを蓄えた“いかついオッサン”だから、周りの年齢が近い男も、もっと年上の男も、ジロリと睨んだりだとか、これ見よがしの「うるせぇな、泣かしてんじゃねーよ」だとか、そういうのがないんだと思います。

これがやっぱり、か弱い女性だったら・・・若くて、背も低いお母さんだったら、イヤな目にも遭っていると思いますよ。

あと、妻ともよく話すんですが・・・男性からだけでなく、女性からもね。「あのお母さん、赤ちゃんをあんなに泣かして」「ちゃんと躾しているのかしら」とか。

でもこれが、男が抱っこして泣かせたりしていても「あぁ慣れないのねぇ、大変ねぇ、偉いわねぇ」ですから。

不倫報道を見ても、不倫をしたのが男性よりも女性の方がバッシングが大きい。

日本は「女っていうだけで罪」なんじゃないですかね。

これはもともと、オノヨーコさんが息子のショーン君に言っていたセリフなんですけど。彼女は「ビートルズを解散させた元凶」といわれて、当時世界中から叩かれたんですが、それはヨーコさんがアジア人で、女だったからという点も深く関わっていて。

彼女がショーン君に「女っていうだけで罪なのよ」って、NHKの『ファミリーヒストリー』で語っていらっしゃいました。

――女っていうだけで罪・・・重い言葉ですね。

樋口:妻が『ネプリーグ』で、バラエティ番組向けに「東大以外は専門学校」なんて言って、ちょっとした炎上騒ぎを起こしたことがあります。

――それはまた、燃え上がりそうなコメントですね・・・

樋口:裏話をすれば、僕が「お前はテレビではいい子ちゃんぶっている。もっと面白いことを言え!」とけしかけたからなんですけど(笑)

妻は、東大の法学部を出てはいるものの何年も留年しているし、弁護士になるまで7年もかかったり、人生挫折だらけで、落ちこぼれなんですね。

それで妻は、「やっと分かった」って言うんです。

――やっと分かった、とは?

樋口:妻が言うには、「自分のような人間がエリートコースを歩んでいたら、ネタではなく本当に、東大以外は見下す、ひどい人間になっていただろう」って。

それに加えて、「もし男に生まれていたら、女のことも劣ったものとして扱うような人間になっていただろう」と。

テレビで発言した後、妻の弁護士事務所に何件かクレームの電話がかかってきたそうです。妻は「もし私が『東大以外は専門学校』なんて本気で思っているような学歴至上主義者だったら、帝京大学の夫と結婚なんかしていないし、子どもも産んでいません!」って答えたそうです。

まぁ僕の偏差値は実際、妻の半分しかありませんからねぇ(笑)

そうしたら電話口で、その苦情を言ってきた人が涙声になって「頑張ってください」って。うるさいよ!(笑)。

ちょっと脱線しましたけど、それで妻は、「だからこそ自分が挫折したことには意味がある、そして意味があって女性に生まれてきたんだなって思うようになった」って言っていました。

その思いがあるからこそ、「社会の中で弱い立場にある人たちの助けになろう」と、弁護士をやっているのだと思います。

――“女性”と“社会”ということでいえば『おっぱいがほしい!』の中でも「#保育園受かったの私だ」なんていう衝撃的なテーマがありました。保育園や保育士さんについても、度々取り上げていらっしゃいますよね。