モバイルバッテリの年間販売台数指数の推移

経済産業省は2月1日、電気用品安全法(PSE法)の規制対象にポータブルリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリ)を加えると発表した。経過措置として今後1年間はPSEマークのない製品も販売できるが、2019年2月1日以降、技術基準などを満たしたモバイルバッテリ以外は、製造・輸入・販売が認められなくなる。 家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」の過去3年間の年間データをみると、モバイルバッテリの2016年の販売台数は前年比107.0%と伸びたが、17年は前年、前々年を下回る水準にとどまった。3年間をならしてみると、おおむね横ばいといえるだろう。

カラーやバッテリ容量ごとに別々にカウントすると、17年の年間販売台数1位はエレコムの「DE-M04L-3015」、2位・3位はソニーの「CP-V5A」「CP-V3B」、4位・5位はマクセルの「MPC-CW5200WH」「MPC-TW5200WH」だった。いずれも税込み2000円弱から3000円程度で買える、手頃な価格のスタンダードなタイプだ。メーカー別でみると、1位はマクセルで、エレコム、ソニー、バッファローと続く。

PSE法の規制対象に加わったとはいえ、すでに購入した手持ちのモバイルバッテリは継続して利用でき、買い換える必要はない。しかし、経産省は近年、モバイルバッテリによる発火事故が多発していることから、これまで規制対象外として運用してきた「リチウムイオン蓄電池が組み込まれたポータブルリチウムイオン蓄電池」も、規制対象の「リチウムイオン蓄電池に含まれる」と解釈を変更し、規制対象に加えることにしたと説明している。

PSEマークは国が定める一定の基準を満たした製品にしか添付できないため、いわば安全性の証。今回の変更を受け、製品に対する信頼感が増し、ここ数年、横ばいだった市場規模が拡大する可能性もある。逆に安全基準を満たさない安価な製品は店頭から消え、製品数が減って縮小する可能性もある。

スマートフォン自体の性能が向上し、モバイルバッテリを携帯しなくても安心して使えるようになってきたこともあり、今回の件はマイナスの影響を与えると予想する。今後の販売動向に注視していきたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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