仮面ライダーキックホッパー&仮面ライダーパンチホッパー(『仮面ライダーカブト』)

"ちょいワル"な仮面ライダーといえば、『仮面ライダーカブト』に登場した仮面ライダーキックホッパーと仮面ライダーパンチホッパーの名タッグも決して忘れられないキャラクターです。

変身者は、矢車想と影山瞬。このふたは、当初は劇中に登場する防衛秘密組織「ZECT」でリーダー格(であり、本作の"2号ライダー"である仮面ライダーザビーへの変身資格者)を務めていたエリートなのですが、ドラマの途中で失脚して組織を追われ、更には仮面ライダーへの変身資格も奪われることに。

結果、闇の世界へと堕ち、卑屈な言葉遣いでやさぐれた行動を繰り返す、文字通りの"ダークヒーロー"へと転身します。

基本的にキャラクターのアクが強く、"濃い"登場人物が多い『仮面ライダーカブト』ではありますが、ダークサイド転落後の矢車と影山の強烈なキャラと、「今、俺を笑ったな?」に代表されるとことんネガティヴかつキレた台詞の数々は、視聴者の心を一瞬にして掴み、「地獄兄弟」の愛称と共に異色の人気を得ました。

とはいえ、うらぶれていても、その身体には正義のヒーローとしての血は流れているようで、新たな仮面ライダーとしての変身能力を手にし、他のライダーと争いながらも怪人たちと死闘を展開。

アウトローな色気たっぷりの仮面ライダー、キックホッポーとパンチホッパー。ここまでやさぐれた仮面ライダーは、歴代シリーズを観返してもかなりの個性派であり、今なお強烈な存在感を放ち続けています。

アバレキラー(『爆竜戦隊アバレンジャー』)

仮面ライダーと並ぶ、東映の特撮ヒーロー、スーパー戦隊シリーズからピックアップしたい"ちょいワル"ヒーローが、『爆竜戦隊アバレンジャー』に登場したアバレキラー(変身者は、仲代壬琴)です。

同シリーズは、3人ないし、5人のスターティングメンバーで物語が始まり、ストーリーが進むにつれて、より強力な能力や変形ロボットを持つ「追加戦士」が登場するのが、一種のお約束であり伝統となっています。

その追加戦士も癖のある性格の人物が多く、当初は争いや反発を招くものの、やがて友情を深めて主人公サイドの仲間に……という事例が多いのですが、このアバレキラーは追加戦士としては、まさに異例中の異例の存在。何と、物語の最終盤に到るまで、味方にならないのです! それどころか、一時期は敵組織のボスになるという極悪ぶり。

その"ちょいワル"どころか"超ワル"な行動は常軌を逸しており、とあるエピソードでは、ヒーローの変身中に相手を襲うという特撮番組の「禁忌」を犯す非道な所業まで行っています。

とはいえ、そこは正義のヒーロー。実はアバレキラーが悪に染まっていたのには理由があり、その理由こそが本作のドラマを大きく揺るがす物語のキーとなります。

アバレキラーが改心し、仲間になった時の圧倒的なカタルシスは、それまでの極悪っぷりがあったからこそといえるでしょう。

戦隊シリーズにおいて、初のダークヒーローとも称されるアバレキラー。その悲劇的かつ熱い最期や、敵組織の女幹部とのラブロマンスを思わせる交流などでも、今も語り草となっている名キャラクターです。

ウルトラマンゼロ(『ウルトラマン』シリーズ)

2009年に公開された映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』での初登場以降、新世代のウルトラ戦士のシンボル的な存在となっているのが、ウルトラマンゼロ。ウルトラセブンの息子であり、今やウルトラシリーズに欠かせない名物キャラクターです。

品行方正で、無償の愛により地球の平和を守り続けてきた歴代のウルトラヒーローとは趣が異なり、かなりヤンチャな性格を持つキャラクターとしてこの世に生み出されたウルトラ戦士で、当初はかなり粗暴な性格の持ち主として描写されていました。

その後、行動や口の効き方にもやや落ち着きが出てきたものの、若者特有の特権ともいえる自信過剰な性格や、自由奔放かつ熱い性格など、これまでのウルトラ戦士にはなかった熱血系のヒーロー像は、シリーズに新たな歴史を作り出すことに。

声優を宮野真守さんが担当していることから女性人気も高く、宮野さんの声で放たれる決め台詞の「2万年早いぜ!」は、ゼロを象徴する名フレーズのひとつとなっています。

ちなみに、上述したように少々荒っぽい気質の持ち主であるゼロですが、宇宙の平和を守る為のヒーローチーム「ウルティメイトフォースゼロ」を結成してリーダー格を務めたり、準主役として客演した『ウルトラマンジード』では、ウルトラマンに成り立ての新ヒーローであるジードに大いに慕われるなど、かなりの人徳も持ち合わせている模様。"ちょいワル"ならではのヤンチャさに惹かれる人も多いのでしょうか?