『許されざる者』完成報告記者会見の模様

1992年に製作されたクリント・イーストウッド主演・監督作を、日本映画のスタッフ&キャストで再生させる映画『許されざる者』の完成報告記者会見が1日に都内で行われ、渡辺謙、佐藤浩市、柄本明、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、李相日監督が登壇した。

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本作は、19世紀の北海道を舞台に、かつては江戸幕府の残党として京都中にその名を轟かせるも、二度と刀を持たないと誓った男・釜田十兵衛(渡辺)が辿る数奇な運命と、暴力の連鎖を描き出す作品。オリジナルでイーストウッドが演じた役を渡辺が、モーガン・フリーマンの役を柄本明が、ジーン・ハックマンの役を佐藤浩市が演じる。

渡辺は「ようやく完成しました。撮影に入る前、オリジナル版のストーリーは踏襲しつつも、この作品は日本独自の素晴らしい作品になることを確信しました」と話し、佐藤は「役柄的には追いつめる側ですが、撮影時には監督にたくさん追いつめられた凄惨な毎日でした(笑)。ですが、完成を前にすると喜びしかないですね」と語った。

李監督は「前作の『悪人』を経て、完全な善悪を割り切ることのできない世界を描きたいと思っていました。昔観たオリジナル版『許されざる者』に刺激を受け、この作品を日本映画として再生させたいという途方もない申し出を受けてくれたすべての人に感謝いたします」と述べた。

会見では、イーストウッド監督から完成にあたっての祝福メッセージが届いた。渡辺は「この試みを快く引き受けてくれたクリント・イーストウッドの懐の深さに感銘を受け、こうしてメッセージを送ってくれたことは素直に嬉しいです」といい、李監督は「実感がわかないですね(笑)。映画界の神様みたいな人なので…。雲の上の人から声をかけてもらったみたいな感覚です。撮影中はとにかく必死だったので、その結果がきちんと届いたんですね」と喜びをかみ締めた。

また、本作がベネチア映画祭の特別招待作品に選出されたことについて、李監督は「オリジナルのストーリーは踏襲しつつも、人の生き様、人間の業をにじみだせればと思って必死になっていました。そこの部分の見え方の違いはオリジナルと比べても明確だと思います。そこをどうとらえられるのか、楽しみでもあれば怖くもありますね」と語った。

『許されざる者』
2013年9月13日(金) 全国ロードショー

『許されざる者〈1992年〉』
ブルーレイ 2500円(税込)
DVD 1500円(税込)
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