『ローン・レンジャー』を手がけたゴア・ヴァービンスキー監督

ジョニー・デップが『パイレーツ・オブ・カリビアン』の製作者&監督と再タッグを組んだ新作映画『ローン・レンジャー』が本日から公開されている。そこで、本作の監督を務めたゴア・ヴァービンスキーに話を聞いた。

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映画は、復讐に燃える悪霊ハンターのトント(デップ)と、聖なる力によって瀕死から甦り“ローン・レンジャー”となった男ジョン(アーミー・ハマー)が巨悪に立ち向かうアクション大作だ。

デップと『パイレーツ…』シリーズを3作手がけたヴァービンスキー監督は4作目には参加せず、フルCGアニメ映画『ランゴ』を製作し、古今東西のウェスタン映画や活劇の要素を研究・活用した。続く『ローン・レンジャー』でも監督は『ランゴ』で得たノウハウや知識を活用している。「どんなジャンルでもあっても、映画というのは“ジャンル独特の言語”を持っているものです」と語るヴァービンスキー監督は「モニュメント・バレーで撮影している時、撮影位置を探して『ここだ!』とカメラを置いたら、現地のガイドに『ジョン・フォード監督と同じ位置にカメラを置きましたね』と言われました。歴史の中には同じことを繰り返す運命のようなものがあるのでしょう。私たちはその中で“新しいこと”をしようとしています」と語る。

そこで監督は、アメリカでは誰もが知る『ローン・レンジャー』の物語を“新しい視点”で語ることを思いつく。本作では年老いたトントが、若き日の自分とジョンの出会いと“ローン・レンジャー”誕生の瞬間を回想する構成でドラマが進んでいく。「脚本をつくる過程で“ドン・キホーテの物語を(従士の)サンチョ・パンサの視点から語ったら?”というアイデアを思いつきました。オリジナルではローン・レンジャーとトントは師弟関係のように描かれていましが“弟子が師をつくった”という話にしたかったんです。また、ローン・レンジャーが決して特別な存在では誰の心の中にもいる、ということを描くためにも、ふたつのタイムラインが必要でした」。

従者だと思っていた相手が自分をリードし、すべてを制御していると思っていた相手が実は自分の“羅針盤”になっている。ジョンとトントの間には、単純な友情やパートナー関係以上の“何か”が宿っているのだ。ちなみにヴァービンスキー監督も形は違えど、製作中にはいつも少し不思議な経験をしているらしい。「自分でアイデアを練り、準備を重ね、撮影をして、編集作業をしていると、“命”を宿した映画が自分に語りかけてくると感じることがあるんです。自分が作ったはずの映画なのに、映画が僕に色んな要求をしてくるのを感じます。『この映画は生きている!』と感じるぐらいです(笑)」。

『ローン・レンジャー』
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