<家電激戦区を歩く>茨城県・水戸市(4) 「一家に1台」から「一人1台」へ 新たな商材が人気の的に

2013.8.5 10:59配信
デジタル一眼レフカメラの入門機が売れているビックカメラ水戸駅店

茨城県水戸市では、これまで「一家に1台」だったデジタルカメラの需要が「一人1台」へと変わる段階にある。とくに、学生がコンパクトデジタルカメラを購入するケースが多く、家電量販店にとって収益を見込むことができる商品の一つになっている。全国的に販売が厳しい薄型テレビは水戸市でも不振だが、大型モデルが徐々に売れ始め、これからは4Kテレビが回復のポイントになってきそうだ。また、掃除機では布団専用モデルが新たな商材として浮上。自動で掃除してくれる便利なロボット掃除機は共働きの世帯での評価を高めている。(取材・文/佐相彰彦)

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<売れ筋商品>

●【デジタルカメラ】

一眼レフの新規需要が増加 学生のコンパクト購入も

デジタル一眼レフカメラの販売が伸びている。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によれば、デジタル一眼レフカメラは、今年6月に販売台数で前年同月比168.7%、金額で152.9%と大幅に増加。この状況は水戸市でも同じで、とくに入門機の販売が好調のようだ。

ビックカメラ水戸駅店カメラコーナーの西田真也スタッフによれば、「初めてのカメラとして一眼レフを購入するお客様が非常に多くなっている」という状況で、一眼レフの販売は2ケタ成長を維持。「スマートフォンで写真撮影を覚えた方々が、本格的な撮影がしたくなって購入するケースが多い」という。

ビックカメラ水戸駅店は、全国のビックカメラのなかでもデジカメの知識に長けているスタッフが多い。例えば西田スタッフは、写真・カメラの知識検定のフォトマスター1級を取得している。「写真を趣味にしているスタッフが、お客様の失敗談を聞き、適した撮影法をお伝えしながら、その撮影に合ったモデルを提案する」(西田スタッフ)という。このような接客によって、スタッフと話をするために来店するお客様が多くなったそうだ。

コジマNEW水戸店では、ビックカメラグループであることの強みを生かして、カメラコーナーの充実を図っている。例えば、新たに設置した「アウトドアデジカメコーナー」では、防水機能を備えたデジカメを展示したり、自転車用のホルダーにデジカメを装着して販売したりするなど、さまざまなアウトドアでの利用シーンを提案。成瀬弘憲店長代理は、「旅行する機会の多いファミリー層に人気」とアピールする。

コンパクトデジタルカメラでも、新たなユーザーが現れている。ケーズデンキ水戸内原店では、「これまで一家に1台だったデジカメが、一人に1台になってきている。コンパクトを購入するのは学生のお客様が多い」(今橋真司店長)、ヤマダ電機LABI水戸でも、「小学生の子どもへのプレゼントとして購入するお客様が増えた」(山上優店長)という。

●【薄型テレビ】

画面は50インチ以上があたりまえ 4Kの鮮やかな映像をアピール

一戸建ての多い水戸市では、リビングに置く薄型テレビは50インチ以上があたりまえ。家電量販店では、大画面で鮮やかな映像で視聴することができる4Kテレビのメリットをアピールしている。

ビックカメラ水戸駅店では、スピーカーを設置すれば、映像だけでなく音も楽しめることを4Kテレビコーナーでアピール。ビジュアルコーナーの利光英敏主任は、「興味を示すお客様は多いが、4Kコンテンツの放送が始まっていないことと、まだまだ価格が高いことから、購入に結びつけるのは難しい。それでも、徐々にではあるが購入するお客様が出てきていて、買い替えを促す製品になっていくだろう」という。

ケーズデンキ水戸内原店でも、「4Kテレビの映像を気にしているお客様は多い。今から展示していれば、4Kコンテンツの放送が始まったときに販売が急激に伸びるのではないか」と捉えている。

薄型テレビの販売が厳しい状況のなか、家電量販店では「話題性のある新しい商品を展示することはお客様のメリットにもなる」(ケーズデンキ水戸内原店の今橋店長)と判断して、4Kテレビで少しでも販売を回復しようとしている。

●【掃除機】

共働き世帯にロボット掃除機を提案 フトン専用掃除機でダニから子どもを守る

掃除機は安定して売れていく商品の一つ。今、注目が集まっているのがロボット掃除機だ。水戸市でも、とくに駅前店のデモコーナーで、実際にどの程度の掃除ができるのかを確認するお客様が多い。JR水戸駅前のヤマダ電機LABI水戸では、「ほとんどのお客様が共働きで、ロボット掃除機の購入を検討されている。そこで、技術の進化を説明しながら、共働き世帯に最適であることを訴えている」(山上店長)という。ビックカメラ水戸駅店では、「ロボット掃除機と同時に、吸引力の高いサイクロン式の掃除機を提案すると、そちらに興味をもつお客様もいる」(家電コーナーの梁川晋宙スタッフ)と、ダブルでの提案を実績に結びつけている。

ケーズデンキ水戸内原店では、「湿気が多い時期にはダニを退治するフトン専用掃除機が売れる」(今橋店長)という。30~40歳代の母親が、子どもをダニから守るために購入。フトンを天日干しする日が限られている共働き世帯や高齢者の世帯に好評だという。高齢者は近隣の住民が多く、「日頃の悩みを聞きながらお勧めしたところ、気に入ってくださった」(今橋店長)そうで、日常のコミュニケーションが購入につながった例である。

■アナリストに聞く「売れる理由」

デジタル家電は、デフレから脱却しつつある。薄型テレビの平均単価は、最も低かった2012年2月の4万3100円から、今年6月には5万7500円まで、33.4%上昇した。デジタルカメラは、最も平均単価の低かった12年1月が1万9700円で、今年6月が3万1700円。60.9%の上昇だ。

デジタルカメラは、一眼レフとミラーレス一眼のレンズ交換型が前年同月を大幅に上回っている。今年6月は、台数で147.4%、金額で141.6%になった。一方、コンパクトデジカメは、今年6月の販売が台数で79.3%、金額で80.4%と依然として厳しい状況が続く。しかし、センササイズが1.7分の1インチ以上の高級コンパクトは、販売構成比が2割強だったのが3割弱に達しており、平均単価も上昇している。市場構造は健全になりつつある。

薄型テレビの6月の販売台数は前年同月比79.2%と2ケタ割れが続くものの、金額では92.5%と、前年並みまであと一歩というところまできている。金額が持ち直しているのは、大型モデルが売れているからだ。50インチ以上になると、フルハイビジョンでは画質が粗く見えてしまいがちなので、さらに画質のいい4Kテレビが台頭するだろう。来年に開催されるサッカーワールドカップに合わせて4K放送が始まるという話なので、今年末あたりに大きな波が来る可能性がある。

●家電激戦区「水戸市」を歩いて

芯が強く、やや内向的な水戸市民からの信頼を獲得するために、家電量販店のスタッフは、丁寧な商品説明とお客様の本音を引き出すコミュニケーションに力を注いでいる。お客様に安心感を与えて、家電やデジタル機器に関して頼られる存在になることが販売につながっているのだ。水戸市では、人情味溢れる雰囲気のなかで、お客様に店舗・スタッフのファンになってもらうことが収益を伸ばす決め手になっている。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年7月29日付 vol.1491より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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