ケネディ(名古屋グランパス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS ケネディ(名古屋グランパス)  (c)J.LEAGUE PHOTOS

3月9日・埼玉スタジアム、1-0のスコア以上の完敗を喫した名古屋グランパス・ストイコビッチ監督は、浦和レッズの新加入FWに脱帽した。現役時代、天才の名をほしいままにした世界的なMFは「興梠はインテリジェンスあるプレーをした。彼はコンピューターのように自分が走るべきところ、味方を走らせるべきところがわかっている。一方、我々はインテリジェンスが足りなかった」と敵軍の背番号30を称えたのだった。

ストイコビッチ監督のコメントを知らされたペトロヴィッチ監督は「だからこそ、我々は慎三を浦和へ連れてきた。だが、彼には時間が必要。まだまだ彼の力をチームに還元できる」と胸を張った。

浦和の名将はJ1リーグ戦5節・ジュビロ磐田戦後には、こうも語った。「慎三がこれまでゴールを決めていないということで、プレッシャーを感じているのかもしれない。だが、チームとしては13ポイントを取っていて、彼はチームの勝利に貢献している。それなら別に彼がゴールを決めなくても構わない」。

スペースを見つけ走り、ワンタッチでラストパスを供給すれば、前線で潰れ役もこなす興梠は、リーグ戦6節・湘南ベルマーレ戦で今季初ゴールを叩き込むと、ここまで6ゴールをマークした。FWとしては決して得点は多くはないが、リーグ2位となる39得点を支えているのは確か。周りを生かし、自分も生きる「エゴイストではないFW」がいるからこそ、浦和は攻撃サッカーを貫き、首位と勝ち点2差の11勝4分4敗・勝ち点37の3位につけているのだ。

一方の名古屋である。リーグ戦2節、アウェイに乗り込んだ名古屋には豪州代表FW・ケネディも、元日本代表DF・田中マルクス闘莉王もいなかった。ケガ人続出の中、5月には悪夢の5連敗も喫した。そして、現在4連勝と勝ち点27まで積み上げたのだ。

4連勝の原動力となっているのが、2011・2012年得点王のケネディであり、元日本代表FW・玉田圭司である。194cmの長身FWも、技巧派レフティも、ここ4試合で4ゴールを量産している(ちなみに両FWのゴール数は各7点)。

決定力だけではない。ケネディと玉田が前線でチェイシングを見せ、ダニルソン&中村直志が中盤でボールを回収するなど、攻撃から守備の切り替えがチームで連動できるようになったのだ。ケネディと玉田の活躍で勝利した8月3日・磐田戦後、指揮官は「彼らは攻守にわたってハードにプレーしてくれた。カバーする動き、相手のCBに組み立てさせない動き、そしてフィニッシュもしっかり決めた。これ以上何を求めたらいいのか? 素晴らしかった」と賛辞を送った。

第2節から5か月、8月10日(土)・名古屋グランパス×浦和レッズ・豊田スタジアムで勝利を掴むのはどっちだ。チケット発売中。