雅楽、オカリナ……実は音楽の道をいろいろ蛇行しているんです(笑)

――喜多さんにとってアニソンの魅力とは何でしょうか。

喜多「作品に沿ったテーマで練られて作られているのが魅力ですね。僕も毎回、作品の資料や台本を拝見して、物語に感情移入できるように歌っているのですが、作品によって曲も歌詞もまったく違います。そこで自分を切り替えてどう見せていくかというのがアニソンの面白いところ。アニソンを歌うことって、毎回がデビュー曲みたいな感じで新鮮なんです」

――喜多さん自身はどんなアニソンに影響を受けて育ったのでしょうか。

喜多「そうですね……『宇宙船サジタリウス』とか『魔神英雄伝ワタル』、他にも『新世紀エヴァンゲリオン』や『スレイヤーズ』などいろいろ見ていましたよ。影響を受けたという点ではワタルでしょうか。サントラとかCDドラマとか全部買い揃えましたから(笑)」

――そもそもアニメがお好きだったんですね。そこからデビューに至った経緯について教えていただけますか?

喜多「もともと歌うことは好きだったんです。最初に歌うことの気持ちよさを知ったのは小学3年生の頃。内気な子どもでしゃべるのは苦手だったのですが、歌だったら人前で緊張せず歌えたんですね。あるとき地元の夏祭りでカラオケ大会があって、そこで『夢光年』を歌って拍手をもらったのが原体験だと思います」

――そこから歌手を目指した?

喜多「歌手というよりは音楽に携われる仕事に就ければいいなということで、大学は大阪芸大の音楽学科に進学しました。そこでゲーム音楽を作る方へ行こうとしたのですが、就活ではどこも受からなくて。そこからしばらくしてアニソングランプリの告知を見つけて、応募したんです」

――音楽といっても一度は別の道に進みかけたわけですね。

喜多「そうですね。歌うことはつねに好きだったのですが、いろいろ蛇行しているんですよ(笑)。たとえば中学時代は軽音部がなかったので雅楽部に入って龍笛を吹いていました」

――雅楽部ですか! それはまた珍しいですね。

喜多「神社が校内にあるという変わった学校だったんです(笑)。高校に上がると今度は軽音部に入ったのですが、今度はメンバーの音楽性がバラバラで、僕も最初はキーボードだったんですが、途中からボーカルに転向したという感じです。あと、大学ではオカリナを吹いていました」

――オカリナですか!?

喜多「龍笛をやっていたからか、笛の音が好きになったんですよ。アニメやゲーム音楽の影響もあるかもしれませんね。リードが声でなく楽器ですから」